7日目 ページ5
ピッ、ピッ、ピッ………
規則的な電子音が耳に滑り込んできて、目が覚めた。
視界に広がるのは、見慣れない白い天井。
目線を下げて胸元を見ると、心臓の辺りからいくつかの管が伸び、馴染みのない大きな機械に繋がっていた。
「いた………」
ズキズキする頭を押さえて何とか上体を起こすと、ベッドの足元の長椅子で、左馬刻さんが座ったまま寝ているのが目に入った。
美しい顔の眉間に刻まれた深い皺と、目元の隈が、濃い疲労を物語っている。
壁に掛けられた時計を見ると、午前8時を指していた。
昨日、墓地に着いたのが10時頃だったから、ほとんど丸一日、私は眠ったままだったらしい。
「ずっと、着いててくれたんだ………」
自分でも気づかないうちに、涙が頬を伝った。
貴重な一日をフイにしてしまったことが辛くて申し訳なくて、
でも、目覚めない私のそばにずっと居てくれたことが嬉しくて、有り難くて、
____ただ、愛おしくて。
「ふ、うっ………」
噛み締めた唇の隙間から、嗚咽が漏れる。
かなり声を押し殺して泣いていたのだが、眠りが浅かったらしい左馬刻さんはうっすらと目を開けて私を見ると、途端に立ち上がって駆け寄ってきた。
「どうした、どっか痛むか?」
人差し指で私の涙を拭い、背中を優しくさすってくれる。
「ちが、くてっ………!う、あぁ……っ!!」
部屋が個室であることを感謝しなければならないほど、私は声を上げて泣いた。
左馬刻さんはその間、黙って背中をさすり、それから強く抱き締めてくれたのだった。
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鈴 - 夢主ちゃん、幸せになって良かったぁあああ!!!!!もう、すっごい感動しました!泣きました!ありがとう、感動をありがとうございます!!!(うるさくてすいません) (2020年7月14日 21時) (レス) id: 7ac441a921 (このIDを非表示/違反報告)
まー - 完結おめでとうございます!めっちゃくちゃ感動しました!自分の妄想でこんな感じの話を作ってたので私の心にぶっ刺さりました笑笑左馬刻様マジでかっこいい(*≧∀≦*)ほんとにほんとにこの話読んでて泣きそうになりました。私もこんな感じの人とこんな恋がしたいな、、 (2019年11月20日 16時) (レス) id: 0db8fc4dba (このIDを非表示/違反報告)
帝光(プロフ) - 改めて完結おめでとうございます!!!!!この作品で私は事あるごとに涙を流す変な奴になってしまいました。見事にゴールインして嬉しかったです!お兄ちゃんも出てきたし!次の作品、楽しみにしています!受験、頑張ってください! (2019年7月24日 10時) (レス) id: f744c6fe41 (このIDを非表示/違反報告)
夏柯 - 完結おめでとうございます!本編で泣き、番外編でも泣き……感動しまくってました!プロポーズがロマンチックすぎて……!本当に良かったです!更新お疲れ様でした! (2019年7月13日 16時) (レス) id: d7e54bb1e1 (このIDを非表示/違反報告)
世理(プロフ) - 本当の完結おめでとうございます!もう...めっちゃ好きです!新作出たらすぐに飛んできますので!!!楽しみにしてます!お疲れ様でした! (2019年7月11日 20時) (レス) id: 5d3e2d5767 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:矢野いと | 作成日時:2019年5月24日 18時