本性 ページ16
Sans side
ごめん、と小さく呟いた後Sionは
壁を背にずるずると座りこんだ。
あまりにもその沈黙が長すぎるから、
意識を失ってるんじゃないかと思う程だった。
「─おい、Sion……?」
あぁ、そうだった。
カッとなり過ぎていて、気にも止めなかったが
俺は、Sionを壁に叩きつけたんだ。
その時に怪我しちまったのか─?
一度考えたら、血の気が一気に引いていった。
慌てて駆け寄って、Sionの手を取ろうと─
「───触んな。」
伸ばした手は乱暴に弾かれた。
唸るような低い声と共に、Sionは立ち上がる。
表情は、長い髪で隠れてしまって見えない。
「…悪いけど、私人形じゃねえから。
大人しく言う事を聞くとでも思ってたか?」
ゆらりと立ち上がったSionは、
今までに聞いた事の無い、乱暴な口調で話し出す。
「お、おい、Sion…?」
戸惑いを隠せずにいる俺を嘲笑うように
Sionは薄ら笑いを浮かべていた。
「何だよ。…あぁ、分かった。
こんな喋り方だから、驚いてるんだな?」
見透かしたように笑うSion。
その表情は依然のSionを
全く思い起こすモノじゃなかった。
「誰かに対して従順に従ったりなんて
…誰が、好き好んでやるもんかよ。
思われてる程私は【良い子】じゃないしな。」
ケタケタと可笑しくて堪らないとでもいうように
Sionは声を上げて笑ってみせた。
その顔は全く別人のモノだ。
「それが人に反省を表す態度か?
【悪い子】はどうなるかくらい…分かるよな?」
威圧するように敢えて低い声を出すも
Sionは驚いた様子も感情もが微塵も無い。
まるで、威圧される事に慣れているみたいに。
これは……手こずりそうだな。
「それで威圧したつもりか?
アンタみたいな過保護野郎、全く怖かないね。
─さっさとやろうぜ?」
「…クソ妹が。」
その言葉を合図とでも言わんばかりに、
俺はSionを殴りつけた。
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クロセ(プロフ) - はじめまして!続きを楽しみにしてます! (2020年6月2日 23時) (レス) id: c80b4d78c0 (このIDを非表示/違反報告)
きりにゃー - ロイヤルガードさん、タイミングう! (2020年3月4日 1時) (レス) id: 9df501902d (このIDを非表示/違反報告)
イザヨイ - 名前カタカナになってますが十六夜です!(汗) (2020年2月4日 17時) (レス) id: 447a13bfc7 (このIDを非表示/違反報告)
イザヨイ - いえいえ!大丈夫ですよ!仕事が忙しくこちらも返信できずすいません!時間があるたびに見に来ます!!((オイ (2020年2月4日 17時) (レス) id: 447a13bfc7 (このIDを非表示/違反報告)
零ノ花(プロフ) - 十六夜さん» 返信遅くなってしまいすみません。今時期は様々な用事がありロクに更新出来ずにいます。途中で作品を放るつもりは更々ありませんのでお時間が空いている時にでもまたいらしてください。 (2020年1月8日 18時) (レス) id: fd8ff30996 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:零ノ花 | 作成日時:2019年7月15日 14時