地下世界の彷徨者 3

子供の戯言 ページ15

「─どうした？ホラ、早く入れよ。」

追いたてられるかのようにSansの部屋へ入れられる。
…一度入れば、いつ出られるか分からない部屋。
そもそも、出られないかもしれない部屋。

「…入らないなら此方にも考えがあるぜ？」

「……う、分かってるよ。」

投げやりになって諦めて部屋へと踏み入る。
パタンと音を立て、ドアが閉じるや否─。

「─何で勝手に外出てるんだ！！」

重力操作で壁に叩きつけながら、Sansは怒鳴った。

「─俺が、兄弟が、どれだけｯ…
…どれだけ心配したと思ってるんだ！？
あれほど言ったはずだぞ！？
勝手に出るなって！何度も！何度も！！」

Sansが壁を殴る。
Friskがやったモノと同じように。
でも、さっきのそれが遊びだと思える程、
今のSansは怒っていたのが殴った振動で分かった。

「─ごめん。」

「『ごめん』じゃ済まねぇよ、馬鹿！」

胸ぐらを掴まれて、もう一度壁に叩きつけられる。
自分の身を思って、Sansが怒っているなんて
容易く理解できた。
でも、一番に湧き上がってきたのは
─どこにもぶつけようのない、怒りだった。

自分自身が悪いなんて、分かってるさ。
でも──と、複雑な思いが募っていく。


そこまで怒らなくたっていいじゃない。

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