もっぱら、君ばかり。（ar×in） (ページ2)

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眠るぬくもりページ2

「大ちゃん、明日起こして？」

俺が隣に滑り込んだところで、ウトウトないのちゃんが言った。

「え？何時？」

「4時間後…」

「絶対いのちゃんしか起きねぇよ」

「大ちゃんに起こされたいのー」

明日は生放送ないのちゃん。
朝は苦手じゃないから毎回俺も気付かないうちにすっと起きて出かけてるというのに。

いのちゃんの言葉を借りれば「ねぼすけで鈍感」な俺は目覚ましをいくつかけても起きられる自信はない。

「じゃあ俺目覚ましかけないからね。よろしくね、大ちゃん」

「ちょっと待って！ちょっと待って！」

「もぉ、大ちゃんうるさい、寝られないー」

俺のせいでいのちゃんが遅刻しようならば、放送事故では済まないって…

「絶対遅刻するよ？」

「起こしてくれないの？」

「…一応いのちゃんの目覚ましもかけといて」

わかってるんだ、いのちゃんが俺に行ってきますを言えないのが不服だってことは。

甘えたがりなお姫様は、寝てる俺を置いて一人で出てくのが寂しいに違いない。

「任せて、いのちゃんはいつも通り眠ればいいから。おやすみ。」

「ふふっ、おやすみ」

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

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┈┈┈

翌朝、まだ薄暗いながらも寝すぎた感覚で目が覚めた。

隣にあるはずのぬくもりはなく、一人分のスペースがぽっかりと空いていた。

ハッ！いのちゃんは！？

「あっ、大ちゃんやっと起きた遅いよ」

頭上に微笑むきのこ頭、すっかり身支度を整えたいのちゃんが今にも家を出ていこうとしていた。

「ごめんいのちゃん！玄関まで送るから！」

慌てて飛び起きて後ろ姿を追いかける。
玄関で追いつくと、いのちゃんは振り返って言った。

「来週は起こしてくれる？」

「ぜ、善処します…」

「ふふっ、ほんとかなぁ。」

実質お見送りできてるんだから間に合ったでしょ、とは言わない。

朝はスイッチ入るのが遅いいのちゃんが、せっかくご機嫌に出発できそうだからね。

「忘れもん無い？」

「あったら大ちゃんが持ってきてぇ」

「そんな無茶な…
ほら、行ってらっしゃい。いのちゃん。」

「行ってきまぁす」

バタン…
閉まるドアに施錠を確認しようとした瞬間、、、

ゴツンと頭に衝撃がして、いのちゃんが戻ってきた。

「やっぱ忘れ物あったわ」

「もー、何？取りに行…んむっ」

「行ってきますのチュー」

じゃあねって声がして、一瞬でいのちゃんはひらりと出ていったのだった。
…いのちゃんは時々、男前だから焦る。