鬼 ページ16
「出費が痛い…」
「そういえば紅さんって、何処からお金仕入れてるんですか?」
「だから秘密」
漆花の着物やらお菓子やらが入った包みを抱えて歩く。すっかり軽くなった財布が悲しい。自業自得っていったらそうなんだけど。
未だに漆花がぶつぶつ文句をぶつけてくる。
「でも紅、自分だけそんな凝った意味の名前つけるだなんてずるいよー。ぼくなんてノリで決められたのに」
「それに関しては本当にごめん。ていうか、この名前を付けたのはあたしじゃなくて…」
「え?紅、誰かと会ってきたの?」
「うっ、」
言葉につまる。うっかり口を滑らせた。漆花と夜鬼が目敏く気づいたような仕草をする。
先を歩いていた漆花がくるっと振り向いて、悪戯っ子みたいな笑みを浮かべる。びっと指を差されて、冷や汗タラタラ。
「はっはーん。さては紅」
「うん、何?」
「恋人が出来たね!?」
「……はい?」
想像してた答えと全く違うのが飛び出してきた。夜鬼も真に受けてびっくりしたらしく、口が開きっぱなし。
「ちょ、ちょっと何言ってるのさ?あたし男となんか会ってな…」
「えっ!?まさか女の子と逢瀬でいらして?」
「合ってるけどちがあう!」
確かに会ったのは女の子だし桜ちゃん可愛かったけど!!お人形みたいだったけど!!
「漆花、何言ってる」
「あ、夜鬼もこっちに加勢してくれるの?」
「頭領に恋人なんか出来るわけないだろ、嘘に決まってる」
「余計なお世話だ!!」
いやそれはそれで失礼すぎない?
「もう二人とも話聞いてよ…」
「え、どれも違うの?」
「違うわこのマセガキ」

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作者名:ひすい | 作成日時:2020年12月1日 18時