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しばらく、沈黙が続いた。結構な時間のように感じたけど、実際何分も睨みあっていたわけではないだろう。

先に口を開いたのは、あたしじゃなくて人間の方だった。


「あの、どちらさまでしょうか?恐縮なのですが私、あなたの顔は存じないのです」


春風みたいに、穏やかでほんのり甘い、女の子の声。

随分と綺麗な言葉を遣う。いいところのお姫さんなのだろうか。今のところ影しか見えないから表情は分からないけど、声音からして少なくとも怖がっているわけではないのだと察した。むしろ、こちらに興味津々って感じだ。

あわてて返事を返す。


「あ、ごめんなさい勝手に入って。ただ、ちょっと気になっただけなんだ。そしたら急に人間…いや、人がいたから、びっくりしただけ」

「まあ…」


人間の女の子は特に驚きもせず、相槌をうつ。適当に話してお茶を濁していると、ふと何か気づいたような表情を浮かべた。

あれ?角は隠してるはずなんだけどな、何かへんなことしたかな?
いやまあ不法侵入してるけど。

距離はそのままだが、少し調子を落とした声色で問いかけられる。


「…すみません。もしかしてあなた…」

「う、うん?」

「この前も、ここにいらっしゃいましたよね!そう、丁度十二日前に」

「……ええ?」

「ですよね?」

「えっ、あ、はい!」


十二日前なんて覚えてないよ…

ものすごく記憶力いいなこの子。というか、なんであたしがここに来たこと知ってるの?

「この前も、あなたの声が聞こえたんです。それで覚えていて」

「ああ、そういうこと」


これで納得しちゃうあたしもあたしだけど、この子もこの子だ。あたしすぐ忘れるよ。

じゃあ、あのときの『だれ』って声もこの子?そこはもうどうでもいいけど。


「あのう。すみませんが、こちらまで寄ってきてくださいませんか?この部屋には、光源がここしかないので」

「あ……うん」


そそくさと女の子の方に寄る。姿が見えた。


「………金?」


本日二度目、目を見開く。だって、こんなの。

髪は金色で、光に当たるときらきら輝いて見える。目は瑠璃みたいな碧で、おまけに肌は雪の降った後のように真っ白だ。

まるで昔誰かに聞いた、蓬莱山を流れた金銀瑠璃の川と同じ色だ。すごい、すごい。

目をぱちくりとさせて動かないあたしを、人形みたいな可愛い女の子は不思議そうに見つめていた。

鬼→←鬼



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作者名:ひすい | 作成日時:2020年12月1日 18時

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