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救急病院に着いてから、女性が診察を受けている間、私は待合室でただただ呆然としていた。


永瀬は今どうしてるだろう。



出てくるとき最後に見た姿のまま、
猫だらけのあの部屋でたった一人、猫を抱いているのだろうか。




そう思うとたまらなくなって、瞼の奥が煮えるように熱くなった。





無事だと伝えなければ、と咄嗟に思った。





「いましんさつ中安心して」






変換するのも面倒で予測変換で出てきた文字の羅列をそのまま打ち込んだ。




安心して、なんて送っても永瀬はおそらく彼女のことなど本当は心配すらしていないだろう。
部屋を出るとき見た永瀬は、ただひたすらに猫を愛でていた。





まるで恋人の髪を梳いて撫でるように、優しく甘やかな表情で猫だけを見る永瀬。



友達だと思っていた永瀬の、私は一体何を知っていたのだろう。






永瀬は私の性格や好みや価値観をきっと知ってくれていたのに。








「栗木さんのお連れの方ですか?」




目の前のカーペットに看護師の白いサンダルが並んだ。



はた、と顔を上げると血色のいい年配の看護師が私に向かって話していた。






「あなた、顔すごいことになってるわ。栗木さんのお友達?
あなたまで倒れそうだけど。」

「あ、あ。そう、です。」




栗木さん、というのが彼女の名前だとそのとき知った。





「彼女と話したら、あなたも少し休んだ方がいいわ。必要なら点滴も打つしね」




てきぱきと器具を処置室を片付けながら、栗木さんがいるという病室まで案内してくれる。ちらりと見えた名札には竹田、とあった。名前の通り、竹を割ったような潔さがある人だと思った。




「友達は152号室ね。彼女、殴られたの?」



なんて答えればいいかわからず、私はただ曖昧に首を横や縦に振った。
ぐわん、と視界が歪んで一瞬頭痛がする。






「彼女なにも話さないのよ。もしことがことなら、こっちも色々しないといけないことがあってね。」





竹田さんは私をじっと見つめて、その後、あっちよと廊下の突き当たりを指差した。







152号室に入ると、そこは個室になっていて天井から吊るされたカーテンが半分引かれていた。






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ふてぃか(プロフ) - 忙しいと思いますが更新待ってます ! (2019年8月16日 17時) (レス) id: 6381a07ad2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:琉叶 | 作成日時:2019年3月24日 1時

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