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初めて、「平野紫耀」の体に触れた時、彼はなぜかほっとしたような表情をした。




私の腕や指についたままの絵の具を、彼は面白そうに見て、指でなぞった。





「黒と、金ばっかりや」

「…ひらのさん の、色」





息も絶え絶えになんとかそれだけ言うと、「平野紫耀」は頭を降って乱れた前髪を直した。





どこか誇らしげな顔をしているのが分かって、私はまた泣いた。




「Aさん、苦しい、」




ぜえぜえと息をする「平野紫耀」の、悩ましげな声が、一瞬で身体に、耳に、脳に、焼き付いた。




「噛んだら、痛いかな」

「いい、大丈夫 」





食べたことのないものを、一口恐る恐る味見するように。




「平野紫耀」は私の肩に歯を立てた。

前歯がくち、と皮膚に食いこんで痕になる。




彼が私に触れたという痕跡が、自分の体に残った。




噛まれた後も、肩はいつまでもいつまでも、熱かった。




彼が、私の、自分では決して触れられないところに触れた。信じられなかった。




こどもみたいに泣く私を、「平野紫耀」は何度もあやしては撫でて、泣き止めば歯を立てて、また泣かせた。





「溺れそうやね、」




誰に向けられた言葉か分からない「平野紫耀」の声に、私は何度も溶けた。




寝入り際、



「さっき、電話でやかんの音が聞こえたよ」




と言うと、「平野紫耀」は





「うん。ごめんな。」

と言った。







私は暗闇に手を伸ばした。

彼の汗ばんだ肌の奥の奥。





私は必死で、何かに触れようとしていた。




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作者名:琉叶 | 作成日時:2019年3月24日 1時

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