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永瀬の家までようやくたどり着くと、玄関前にぽつんと永瀬が立っていた。



よぉ、とあっけらかんとした声を出すからこっちが拍子抜けしてしまう。




「永瀬、」

「ごめんな、こっちまで来さして」

「いいけど、女の人は?」

「部屋におる。今はだいぶ、落ち着いたんやけどな」




こっち、と歩き出した永瀬の後をついて行く。
心臓が、痛い。足も、手も。



頭だけが空よりも青く冴えている。





エントランスを抜けて、永瀬の部屋にたどり着くまでの時間が永遠みたいに長かった。


玄関はねずみ色のタイルが並んでいて、上がり框には猫がいた。




いや、猫がいた、じゃない。

猫しかいなかった。



初めに4匹が私の足元にすり寄って来た。
にゃおおん、と鳴く子もいれば、私の足にぐるりと巻きつく子もいる。

リビングに続く短い廊下にいる子だけでも軽く10匹は数えられる。


にゃあ、にゃあ、とそこらじゅうで猫が泣いている。猫の目がじっとこちらを見ている。猫、猫、猫、猫。




次に目に飛び込んで来たのは、玄関に続く廊下に座り込む女の人だった。


一目見て、血の量が多すぎる、と思った。

永瀬、と泣きそうな声を出してしまった私に気づいたその人は、乱れた髪の間からきっ、と私を睨んで、



「やっぱり…!!!その女、!!」


と叫んだ。
泣きすぎて喉を痛めたのか、痰が絡んで聞き取るのもやっとの声だった。




「ねぇ、どうしてなの!?廉、どうしてこんなことするの、なんで…」


廉、と溢されたのが永瀬の名前の音だと気づくまで数秒かかる。



あああああ、とさんざめくように泣きながら女の人が急に立ち上がる。
私の方に向かってくるのを、ただ呆然と立ち尽くして見ることしかできない。



玄関に座り込んでいた猫たちがびくっと震えて瞬時にリビングの方に走って行った。
逃げもせずにゴロンと寝転んでいる子もいる。



そんな猫たちを踏みそうになりながら、女の人が私に摑みかかろうと手を伸ばしたが、永瀬がそれを片手で封じた。





もともと、摑みかかろうとしてたのは永瀬の方だったのかもしれない。

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設定タグ:平野紫耀 , 永瀬廉 , King&Prince
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ふてぃか(プロフ) - 忙しいと思いますが更新待ってます ! (2019年8月16日 17時) (レス) id: 6381a07ad2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:琉叶 | 作成日時:2019年3月24日 1時

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