【名探偵コナン】BloodyMary【黒の組織】

code.33 "Whiskey" ページ34

景光の死を聞いた、例のバーのドアを開けると、からんころん、とベルがいい音を立てた。

ジ「...座れ」

いつになく険しい顔をしたジンの隣に腰かける。

『バーボン、ニート』

とりあえず1杯頼み、テーブルに頬杖を着きながら、壁際にずらりと並べられたお酒の瓶を眺める。

ライ・ウイスキー
スコッチ・ウイスキー
バーボン・ウイスキー

その3つは、仲良く一緒に並べられていた。

『...とりあえず、私の胸に当てているその固いものを下げてもらおうかしら』
ジ「フッ、そういう訳にはいかねぇな...」

グッ、とさらに強く銃口が当てられる。

ジ「お前とつるんでいたスコッチとライがNOCだったんだ。お前も知っているだろう?」
『えぇ、聞いた時は驚きだったわ。それで、私もNOCだと?そう考えるのは別に構わないけれど...』

『私が何人殺したか。あなたが1番知っているわよね?』

ジ「...チッ」

彼は銃を下ろし、煙草に火をつけようとした。
その瞬間、彼のマッチの火を素手で握り消す。


『ジン、あんた、その態度の後に私の前で煙草を吸うなんて、殺されたいの?』


ジンから目をそらさずにきつく睨む。

すると、彼は珍しく少し顔に焦りを滲ませた後、マッチの火を消した。

ジ「...彼女に、マリーを」

彼が私のためにマリーをオーダーする時は、大体いつもなにか私に後ろめたいことがあった時だ。

今も然り、だが。

バーテンダーが少し怯えたような目で、私の前にグラスを置く。
相変わらず血のように真っ赤な色をしたそのお酒に口をつける。

ジ「いつかは俺も、お前にこの酒のようにされてしまうかもな」

ジンが急にぼそりと呟く。

『...ふっ、そうならないことを私も祈っているわ』

グラスをじっと眺める。


"幸せになれよ"


これ程人を殺めた私に、そうなる権利はあるのだろうか

『ジン』

その名を呼ぶと、彼は自分のグラスに入った酒を眺めながら、なんだ、とだけ返事をした。

『ジンは何の為に組織に?』
ジ「さぁな。ただ、俺にはこれしかねぇからな...」

そうして彼はグラスを煽り、全て飲み干す。

ジ「お前はどうなんだ、マリー」
『私は...』


私は、なんのために組織にいるのだろう


"組織のために人を殺す。"
それは本当に組織を壊滅させることにつながっているのだろうか。むしろ、組織の勢力を拡大させているのではーー


『...分からない』


ジンの重い視線を感じる。


『何の為、なのかな、わたしって、』

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