この世界で王子様と茜 ページ21
それから、取るに足らない話を続けている内に海が見えた。
「海だ。」
私が言うと凛はすぐ近くにあったコンビニへ入ってアイスのコーナーへ向かう。
凛に一言声掛けてよ、と独り言を漏らし私も慌てて入る。
「何故アイス……」
私はどれがいいなんて言っていないのに、勝手にソーダ味のアイスを2つ買って颯爽とコンビニを出る凛に、“振り回される”をとてつもなく実感していた。
「嫌いなやつか。」
「嫌いではないけれど。」
ありがとう、とそれを受け取る。
私が財布を出そうとすると、それくらい良いなんて格好付けたことを言われてしまうからまた悔しいほどに胸が高鳴ってしまう。
そんなこんなで海へ付くと、凛は浜へは行かずに堤防に座った。
海と聞いて、てっきり砂浜を歩いたり少し足を浸けてみたりなんてロマンティックな事を想像していたせいか、そんな欠片も感じない凛に思わず鼻から笑いが抜けた。
＿＿＿＿驚いた。
同じ場所でも、視点によって景色が180°変わるとはきっとこの事だ。
先程はロマンティックの欠片も無いと思っていたのに、隣に腰を降ろしてみれば一変。
夕焼けで赤く染まった空を反射した海
隣には、凛
なんて素敵な景色だろう。
毒林檎を食べて誓いのキスで目覚めたプリンセスも、魔法で変身して舞踏会で王子様と踊ったプリンセスも、
きっとこの景色は見ることはできないだろう。
今だけ、私がこの大きな
王子様を見上げると相変わらず何を考えているか分からない
海を見つめている横顔がとっても綺麗で、この瞬間が一生続けば良いと目を瞑って海の風を感じた。
「俺の兄貴の話、していいか。」
目線はそのまま、表情も変えずに口から唐突に紡がれた凛の言葉に、私は思わず目が開く。
真剣な横顔に、戸惑いつつ頷いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 421人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
名無し(プロフ) - 真昼さん» コメントありがとうございます。意外と凛視点が需要あるようで良かったです。これからも応援して頂けると幸いです^^* (2023年1月30日 16時) (
レス) id: c37b14cb77 (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - するめさん» するめさん、続編の方にもコメント頂けて嬉しいです。いつも応援本当にありがとうございます。凛視点はいずれ書きたいと思っていましたが想像よりも長くなってしまいそうです（笑） (2023年1月30日 16時) (レス) id: c37b14cb77 (このIDを非表示/違反報告)
真昼 - 初コメ失礼します！凛視点めちゃくちゃ好きです！！最後まで応援します！ (2023年1月30日 9時) (レス) @page2 id: 3174c03de1 (このIDを非表示/違反報告)
するめ(プロフ) - 続編おめでとうございます〜!!凛視点めちゃくちゃ最高です、、、このお話ほんとに大好きです! (2023年1月30日 5時) (レス) id: 85ee5a5c1b (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - お酢雨さん» ご指摘ありがとうございます。修正いたしました( _ _ ) (2023年1月29日 22時) (レス) id: c37b14cb77 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：名無し | 作成日時：2023年1月29日 20時
