楽しみだった薄香 ページ12
やはり青いワンピースは幼すぎただろうか。
そもそもデートではなくお出かけなのに浮かれすぎているだろうか。
友達という肩書きで遊ぶのだから白シャツにジーパンくらいが正しかったのだろうか。
家では調子に乗っていつもより可愛い自分に浮かれたが、先程から歩きながら店のガラスに自分の姿が映る度に私は不安を募らせる。
「帰る…？」
私は呟いて首を振る。
いやいや、駅はもう目の前だ。それに今帰って白シャツジーパンに着替えたところで、なんだか後悔しそうな気がした。
「胃が痛いな……」
凡そ15日前、友達と休日に遊ぶという事実にワクワクしていたが、友達が好きな人に変化しただけでこんなにも緊張するものなのだろうか。
鼓動と共に思わず早足になる。
「……いっ」
いる！
思わず叫んでしまいそうだった。咄嗟に口を抑えて深呼吸をする。
ああ大変だとてつもなく格好良い。
他の人よりも頭ひとつ高い凛は、カジュアルな服を着こなしていた。
そう、今日は凛と水族館に行く日だ。
私、あそこにたどり着けるのだろうか。
下へ目線を向けると青いワンピースの裾が揺れて、固まる足を私から遮っていた。
とりあえず凛の方へ背を向けてもう一度深呼吸をする。
「よし、大丈夫、準備は万端。
持ち物は財布、スマホ、ハンカチ、ティッシュ、もしものための絆創膏……」
「遠足かよ」
家で唱えながら準備している内に自然と覚えた呪文を繰り返していると後ろで声を掛けられた。
「凛」
私が肩を揺らして反射的に振り向くと凛はどうして声を掛けなかったのかと私を軽く睨んだ。
凛が格好良くて隣へ行けなかった、なんて私が言えるはずもなく、気付かなかったと裏返った声で苦しい言い訳をした。
私をじっと見つめた後、何事も無かったかの様に行くぞ、と先へ歩き出されて私も慌てて足を動かす。
2人で電車に乗っても人混みで凛に支えてもらうなんて少女漫画じみたこともなく、空いている席に2人で腰掛けた。
私は内心ソワソワしていたが、凛はいつもの真顔で電車の外を見つめているからなんだか悔しくて私もニヤける口元を隠した。
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名無し(プロフ) - 真昼さん» コメントありがとうございます。意外と凛視点が需要あるようで良かったです。これからも応援して頂けると幸いです^^* (2023年1月30日 16時) (
レス) id: c37b14cb77 (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - するめさん» するめさん、続編の方にもコメント頂けて嬉しいです。いつも応援本当にありがとうございます。凛視点はいずれ書きたいと思っていましたが想像よりも長くなってしまいそうです（笑） (2023年1月30日 16時) (レス) id: c37b14cb77 (このIDを非表示/違反報告)
真昼 - 初コメ失礼します！凛視点めちゃくちゃ好きです！！最後まで応援します！ (2023年1月30日 9時) (レス) @page2 id: 3174c03de1 (このIDを非表示/違反報告)
するめ(プロフ) - 続編おめでとうございます〜!!凛視点めちゃくちゃ最高です、、、このお話ほんとに大好きです! (2023年1月30日 5時) (レス) id: 85ee5a5c1b (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - お酢雨さん» ご指摘ありがとうございます。修正いたしました( _ _ ) (2023年1月29日 22時) (レス) id: c37b14cb77 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：名無し | 作成日時：2023年1月29日 20時
