ただずっといちゃいちゃしてるだけ【黒子のバスケ】

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そう、もうラブラブカップルと言ってもいいくらいに仲はよくなった。半年という短い期間かもしれない。でも俺にとってはその半年はかなり長く濃い期間だったのだ。


彼女の家にも行ったし、お忍びデートもした。なんだかんだで乙女な部分のある彼女と共にたくさんのところに行っては楽しんだ。


つまりは、だ。


彼氏の誕生日に会うのだって当然のことであるし、彼氏の誕生日に一番最初に「おめでとう」というのは彼女であることは当たり前だろう。


しかし現実はそう甘くはなかった。


大人気の鞘師AはチョコレートのCMにて活躍している。なんならそのCMの歌まで歌っており、その曲である「chocolate:kiss」は歌番組で何度も披露している曲だ。歌まで上手い俺の彼女は可愛いし綺麗だが、つまりは忙しいということとイコールになる。


そんなチョコレートのCMで大活躍をしている彼女が、チョコレートのイベントであるバレンタインデーの前日が忙しくないはずがない。前日とは言わずにここ一週間忙しくてご飯も睡眠もまともに取れていないらしく、移動中も台本を覚えるのに寝れないのだそうだ。


スマホも放ったらかしでずっと充電すらまともにできない状態。今はもう電源は切れている。そうなってしまえば必然的に彼女と連絡すら取れないのだ。


つまり、俺は誕生日当日はおろか、誕生日の前後にも会えない。仕方ない。彼女はとても忙しい身。俺に連絡をとるくらいなら一秒でも寝てほしいとすら思ってしまうのだ。



俺の悩める男心がなんとなくわかったのか、落ち込む俺の隣で黄瀬は「あぁ、なるほど」と何度かうなずいて見せた。肩にポンと手を乗せる辺りやはり優しい男だ。モテるのもなんとなくわかる。さっきは生意気とか空気読めないとか思ってごめん。




「彼女サン忙しいのはわかるっスけど、でも、今日ぐらい甘えていいんじゃないっスかね」



「お前……俺の彼女を過労死させる気か」




睡眠時間は何時間？の問いに「0.000……」と答えざるを得ないような状態の彼女に、これ以上負担をかけろ、と？

そう問うように顔をあげれば黄瀬はどこや優しい目で俺を見ていた。




「人に会うことで安らぐこともあるんスよ」



「…………………そんなものか？」



「そんなものっス。」

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