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「……ひ、引きませんか……?」


困りきった顔で小さく彼女がつぶやいたのは、そんな言葉だった。

どうするべきか迷い、焦りきっているかなり珍しい顔。初めて見たかもしれない。
そんな顔の彼女に一度ため息をつくと、俺は彼女の小振りの頭に手を乗せた。



「ことによってはこっちも強引な手を使うが……、今更お前が何したところで引きはしねぇよ。」



『ことによっては』というのは他のヤツが好きになったとかいう、一番可能性の高い話のことである。
もし彼女がそんなことを口にしたら、俺は強引にでも彼女を俺のものにする。また俺を惚れさせるようどんなことでもする。

そう、俺はいつの間にかこんなにも彼女を好きになっていた。どうしても欲しい存在。腕の中にいなければ不安で、他の男と話していれば気に入らなくて。できれば俺だけを見つめていてほしいと思うほどに。



そんな俺の気持ちも知らずに、彼女は頬や首筋、耳元も真っ赤にしたその表情で、ぽつりと言葉を漏らした。



「……電車の中で、男の人が『肉食系女子は引くよな』……って話していて。」



ぽつ、と俺の髪から雫が一滴垂れるのと同時に発されたその声は、
あまりにも頼りなく、そしてあほらしい内容で。



「は?」


「それだけじゃないんです。キスだって『女からってマジないわー』とか『家にいつも押しかけるとかほんと無理』とか」


「……」


「いつも受け身でちょっと鈍感でお馬鹿で天然で、謙虚の女の子のほうが断然いいって……」


泣きそうな顔で不安をぶちまける彼女の顔には、やはりいつもの余裕は見当たらない。

一瞬なんかの作戦かと思ったが、そうではないらしい。こいつ本気でそれを言ってやがる。
一年間こんだけ強引にぐいぐいせめては挨拶のように「大好きです」なんて言ってアタックしてきたのに。今更。



「……お前、そんなそこらの男子の言葉で意見曲げるような馬鹿じゃねぇだろーよ……。」


あきれ顔でついぽろっと出てしまう言葉。

でも本音だ。コイツはそんな電車内にいた見ず知らずの男の雑談で、ころっと意見を変えるような柔な女ではない。

____が、そんな俺の言葉を否定するように、恨むように彼女は綺麗な瞳に涙をいっぱい浮かばせて思い切りにらんできた。



「仕方ないじゃないですか……!こ、これでも初恋なんです。
何よりも大事で、大切で、慎重に行きたいんですから……!」

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鎖月零(プロフ) - Flower*さん» flower!ありがとうございます!!短編の夢主は同じ夢主で書くのが普通だということを今の今まで知らなくて……全員バラバラにしてしまいました(笑)私も短編の方が書きやすくて軽くかけるので楽しかったです!続編頑張ります! (2018年2月26日 18時) (レス) id: e5c976073b (このIDを非表示/違反報告)
Flower*(プロフ) - 1完結(?)おめでとうございます!甘々で読んでてドキドキしてしまいました(*ノωノ) それぞれのお話の夢主ちゃんたちも個性豊かで面白し、何より短編なので読みやすいです。やっぱり零すごい……。続編の方も首を長くして待ってます! (2018年2月24日 0時) (レス) id: 4d95f4e8a2 (このIDを非表示/違反報告)
黛パフェ(プロフ) - 鎖月零さん» めっちゃ楽しみにしてます!!! (2018年2月18日 18時) (レス) id: d3f83fb575 (このIDを非表示/違反報告)
鎖月零(プロフ) - 黛パフェさん» うそぉ……本当に恥ずかしいです(笑)規制かかる系の甘々はあまり得意分野ではないのですが、楽しんでいただけると幸いです……!甘くなるように頑張ります (2018年2月18日 18時) (レス) id: a33d034fdf (このIDを非表示/違反報告)
黛パフェ(プロフ) - 鎖月零さん» 今でもたまに見たりしますよ!黄瀬くんの好きですー!規制とかあまり気にしないタイプなので別のアカウントで見に行きますねー! (2018年2月18日 1時) (レス) id: d3f83fb575 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鎖月零 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年12月17日 17時

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