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あの日、あの夜、快斗に好きだと言われた後、返事は今じゃなくてもいいと言われそのまま家まで送ってもらった。送ってもらっている間も本当に現実なのかそれとも都合の良い夢なのかよく分からなかった。結局その夜はしっかり寝ることなんてできるはずもなく1時間程度のうたた寝して慌てて家を出た。


「茜おはよ。ギリギリだったね。大丈夫?」
「青子…おはよ、ちょっと寝不足なの…」
「あら。茜ちゃん。その寝不足は彼が原因かしら?」


教室に着きカバンを机に置くと青子と紅子が、走ってやってきた。紅子がふふっと思わず見惚れるほど綺麗に笑いながら指差す先にいる彼は隣の席で机で突っ伏して寝ている快斗で青子は途端にニヤニヤと笑い始めた。


「私知ってる!河川敷で告白したんでしょ?」
「え?」
「あら、違うわよ。時計台の前で…でしょ?」


どちらもあってはいるので視線を逸らしながらなんとか逃げられないか考えたが無理だった。
ふたりともにやにやと隠さずにずいずいと、窓の方へ後退る茜のほうへときていた。


「それは、その…」
「2人とも。その辺にしろよ」
「快斗…」
「返事待ちなんだ。急かすんじゃねーよ」


それに、こっちも寝不足なんだよと付け加えた快斗の顔がなんだか赤く見えた茜だったが、茜も快斗のことが恥ずかしくて見えずにいたため、とりあえず、大きくうんうんと、頷いていた。


「なぁんだ、もう答えでてるのね!」
「「え?」」
「あらら、二人とも気づいてないのね」


青子は手をパンと叩いて納得した様に自分の席に戻って行った。まったく可愛いお馬鹿さんたちねと笑って紅子は歩いていった。クラスの男の子たちはぽやーっと紅子を、見ていたが彼女がいなくなると今度は茜と快斗が気になる様でちらちらと2人をみていた。


「ったく…茜これ持って」
「え、うん。カバン?ってわぁっ!!」
「ちょっと!快斗!来たばかりで、どこいくつもり!?茜はおろしなさいよ!」


快斗はそんな男の子たちの視線にため息を着くと茜に自分と茜のカバンを投げる。茜が慌てつつもちゃんと受け取ったのを確認してからひょいっとカバンと共に抱き上げた。途端に隠れてみていた女子から悲鳴の様な黄色い声が響く。それに気づいた青子は慌てて茜達の方へ走っていた。


「え。えぇ?!」
「こらぁぁぁ!!バ快斗!まちなさぁい!!」
「如月茜と黒羽快斗は体調不良で欠席しまーす」




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作者名:唯星 | 作成日時:2024年5月9日 9時

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