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-続-
「怪盗キッドだー！！」
「あそこにいるわ！」
「あ。危ない！！」
ちょうど真上にある針を、支えにしている怪盗キッドがそこにいた。
彼はトランプ銃を構えており、時計台に1番近いヘリコプターはドアが開きそこから何かがキラリと光って見えた。
思わず叫んだそれは思ったよりも周りに響き、一瞬…そう一瞬だけ彼がこちらを見た気がした。
「きゃぁぁ」
「布が！！」
彼がトランプ銃のトランプで布の留め具を解き落ちる布と共に群衆へ落ちていった。それを見たヘリコプターは扉を閉じてここから去っていった。ズキズキと痛む頭を抑えながら走り回っている人たちの中にいるであろう快斗を探す為に周りを見渡す。その、『人混み』か『誰かを探す行為』か急に今までしていた頭痛がすっとなくなると忘れていた記憶が鮮明に見えた。
「はい、おれ黒羽快斗ってんだよろしくな」
「快…斗…」
「？？どした？大丈夫か？」
すっと出てきた快斗はぽんっと、効果音でもつきそうなほどぱっと赤い薔薇を一輪差し出した。笑って差し出す花にあの時と同じ言葉を言い同じプレゼントをくれる快斗に思わずポロリと涙が溢れた。そして、茜はあの時と同じ言葉を返す。
「わ、たし如月茜っていうの。キラキラしてたのは貴方なのね！」
「！！まさか…記憶、戻ったのか？」
「私泣いてたよね。転んでケガもしてたし」
茜が涙を手で拭って笑いながら快斗の方を見るとぱぁぁと花が咲きそうなほど明るい笑顔が見えた。あの時と変わらない少年の様な可愛い笑顔にドキッとした茜は顔が赤くなりかけていた。
「よかった！本当に！」
「うん、こんなに早く戻るなんて…」
思わなかった。定着した記憶を思い出してもドキドキする出会いだった。まるで、そうまるで私が青子のポジジョンにいるような錯覚を覚えそうな程に。素敵な記憶。
でも。その記憶で快斗が私のことを好いていてくれればなんて、場違いな思いを抱いてしまう。
思い出す前は私は怪盗キッドが好きなだけで黒羽快斗にはって何故か線引きできていた…ハズなのに…
「ずっと話したいことがあったんだ。聞いてくれ、茜。」
「もちろん。今も、昔も、快斗のことならなんでも聞くよ」
「あ。あぁ…その…」
あの時からずっと好きだ。
(へ…う、嘘だ…)
(嘘なんかじゃねーよ。本当だ)
(私…)
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作者名：唯星 | 作成日時：2024年5月9日 9時
