ドーナツ2 ページ27
ドーナツ
「普に捨てられる夢。
でも監視対象だから離れることは許さないよって」
言われた言葉を思い出すと涙が出てくる。普はじっと私をみると指を伸ばして涙をぬぐう。
涙に触れた指は溶けた痕をつけていく。
ふと気づくと手のひら全体に痕があるのを見て起こしてくれたんだと夢からの脱出を感じて安堵した。
「普。私ねいつか本当に捨てられるんじゃないかって不安なのかも」
寧々ちゃんと触れ合ったりする所をみるのが嫌。
三人で楽しそうにしているのが嫌。
私はあなたに触れないのに何でみんなは触れるの？
一つの不安という言葉にドロドロした感情を押し込める。
「そんなことしないよ」
ゆっくり答える普の顔をみる。夢とは違い真面目な表情をしている。
「普に本当はもっと触れたらなぁって思うの。
羨ましく思えちゃう」
あえて誰とは言わない。
これが自分の本心を伝える限界値。
「ヤシロのこと？ごめん。
不安にさせちゃったね」
いつもならおどけて"嫉妬してるのー？"なんて聞くのに今日は素直に謝ってくる。
「ヤシロにも怒られるからね」
少し落ち込んで答える普。
「ほどほどにね。
あんまり見てていい気分じゃないからね」
寧々にも怒られているという事実に味方をつけた気分で強気に出る。
「俺はこの先何があってもAを捨てることはないよ。
良い意味で君は思い出で、
悪い意味で俺の後悔だ。
そしてやっと会えたんだから、この時間を大切にしたい。
生前望んだことは死後叶えられることはないけど、これぐらいなら出来そうな気がしない？
運が良いのか悪いのかお互い怪異になったんだからね」
笑いながらいう普にストンと心につっかえたものが落ちていくのがわかる。
「ありがとう普」
クスっと笑うと"やっと笑ったね"なんて言いながら髪を撫でる。"溶けるよ"って言えば"もう溶けてるよ"って皮肉で返してくる。
「そういえば、最近ヤシロの様子が変なんだよね」
ふと手を止めてトイレ掃除の情景を思い出しながら話す。
「そういえば大人しいっていうのかな？」
以前と変わって黙々とトイレ掃除をする姿を思い出すと確かに変かなと思う。そして普と距離をとってる気がする。
「普なんかしたの？」
少し引き気味で話すと"何もしてないよ！"って拗ねたように答えた。
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璃炎(プロフ) - 黒猫さん» ありがとうございます。出来るだけ早く更新していけたらと思っています。今後ともよろしくお願いいたします。 (2020年3月7日 9時) (
レス) id: 138083c01a (このIDを非表示/違反報告)
黒猫 - 続き気になります！体調気をつけて更新頑張ってください！ (2020年3月7日 1時) (レス) id: fbc5b8317e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：璃炎 | 作者ホームページ：http://nanos.jp/lampyridae/page/1/
作成日時：2020年2月9日 11時
