検索窓
今日:2 hit、昨日:5 hit、合計:77,089 hit

16時の書庫〈過去〉10 ページ16

16時の書庫〈過去〉


症状が落ち着くとゆっくりとベッドから起き上がって帰路につく。
回復したと思ってもフラつく身体にもう力はないんだなと、確信めいたものを感じた。
長い長い帰り道。普と過ごした通学路の時間と思い出を振り返りながら歩く。

ふと目についたのは告白をされた別れ道。"普ありがとう"と力なく呟くと重い足取りで家へと帰宅した。

家に帰ると食べかけの昼食と倒れている父親。
見ると息はないように感じる。手首を持って脈をとるけど感じない。

「お父さん。もうすぐ行くからね」

最期の晩餐をするように今日のお弁当箱を広げる。
静かな昼時の異様な光景。

Aはゆっくりと目を閉じた。

(出来ることなら普と一緒にいたかった)

***


ふと気がつくとカモメ学園にいた。
でも誰も私のことを気付かない。たまに声をかけてくる人はいるけど普通ではないみたい。

「まるでお化けだ...」

噂や呼び名は時々代わりながら長い年月は私を置いて過ぎていく。

"毒子さん"

"毒女"

"毒姫"

"彼女に勝つとケガを治療をしてくれる"

"負けると体を溶かされる"

"決して触られちゃいけない"

色々な噺が私を支配していく。
ナニモノにもなれてナニモノでもない私。

「毒姫様、来週試合があるのに捻挫してしまったの...
助けてください」

ふと噂を聞いてかけつけてくる生徒たち。

「じゃあ知識比べをしましょう?」

誰もいないと信じている人にはきっと驚くだろうね。目の前には驚いた生徒。

「この中で毒草はどれ?」

目の前に並ぶ綺麗な花を見せながら聞く。悩みながら答える生徒に笑顔で解答を教えると笑う者と泣く者。
色々な生徒達をみてきた。"今日は誰が来るかな?"とか思っていると背後に人馴れざるモノの気配。

「君が毒姫?」

どこかで聞いたことある懐かしい声に思わず振り替える。
そこにいたのは昔と変わらない、いや少し冷めたような目をした普だった。

「俺は七不思議の七番目。
今日から君を助手にすることにしたから」

ニヤリと笑いながら"俺のこと覚えている?A?"と声をかけてくる姿に涙した。

○月□日 名字 A死亡。
その後怪異となり七不思議の七番目の助手となる。

16時の書庫〈現在〉1→←16時の書庫〈過去〉9



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (81 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
248人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

璃炎(プロフ) - 黒猫さん» ありがとうございます。出来るだけ早く更新していけたらと思っています。今後ともよろしくお願いいたします。 (2020年3月7日 9時) (レス) id: 138083c01a (このIDを非表示/違反報告)
黒猫 - 続き気になります!体調気をつけて更新頑張ってください! (2020年3月7日 1時) (レス) id: fbc5b8317e (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:璃炎 | 作者ホームページ:http://nanos.jp/lampyridae/page/1/  
作成日時:2020年2月9日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。