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「…すごーく、痛かった」
「うん。すごーく可愛かったよ」


その後も何かと言いくるめられて散々無一郎に酷いことをされたAは、いつになく上機嫌な無一郎に目を向けて不満げに頬を膨らませる。


「可愛い顔してどうしたの?」
「っ、そんな風に言ったって、誤魔化されないよっ!」
「どうして怒るの?ご褒美たくさんあげたのに」


証拠でも示すかのように外へ出された無一郎の舌には、所々痛々しく血が滲んでいて、「僕はAみたいに、すぐに傷は塞がらないんだよ」と舌を元に戻す。


「でもでも、絶対私の方が痛いもん」
「…、Aは我儘だなぁ」
「我儘じゃないよ!無一郎がひど、」


Aの言葉を最後まで聞かずAの唇を塞いだ無一郎は、ゆっくりとAに舌を絡ませる。


「…ん、おしまい」
「…ふふ」


素直に嬉しそうに笑うAに、どこか驚いたような表情をみせる無一郎は、「…おかしいな。こんなに可愛がってあげるつもり、なかったんだけど」と呟くように言う。


「え、…こ、ころすから…?」
「あは、そうだね。それも良いよね」


否定しないばかりかむしろ笑顔で肯定する無一郎に、Aは身体を震え上がらせて無一郎から距離をとるように後ずさる。


「…ところでね。僕、本気で拒絶されるのって好きじゃないんだよね」
「ころすって言われて、嫌がらない人なんていないよ!」
「優しくしてあげてるじゃん」


むっとした表情でAの手の甲を抓った無一郎に、「痛い!優しくない!」と慌てて手を引いたAは鋭く無一郎を睨みつける。


「…むかつく」
「うっ、」


無一郎の表情にようやく危険を感じ取ったAは逃げようとして呆気なく捕まり、鈍い音を立てながら壁に押し付けられ顎を強く掴まれる。


「う、うそだよ。むいちろやさし…」
「白々しい」
「っ!」


何をされるのかとAが身体を強張らせたとき、予想と反して優しく重ねられた唇に、ホッと身体の力を抜いた瞬間、Aは無一郎に思い切り唇を噛み切られる。


「ん!」


場所を変えてもう一度噛み切られて、痛みと共に口中に広がる自分の味に顔を背けようとしても出来なくて、Aは必死に無一郎の身体を押し戻そうとする。


「…僕の優しさに、感謝しないとね?」


そう言って血濡れた唇を歪めて笑う無一郎は、鬼を通り越して、もはや悪魔のようだった。

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チーズ(プロフ) - alice roseさん» コメントありがとうございます!そして嬉しいお言葉までありがとうございます!!これからも沢山ニヤニヤしていただけるように頑張ります!(笑)よろしくお願いしますm(__)m (2020年11月5日 18時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
alice rose - 控えめに言って最高です!いつもニヤニヤしながら読んでいます、これからも無理せず頑張って下さい!応援しています(≧∀≦) (2020年11月3日 21時) (レス) id: a666e6cc6f (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - まいまいさん» コメントありがとうございます!最高すぎるだなんて、嬉しいです!ちょうど更新しましたー!これからもよろしくお願いしますm(__)m (2020年11月3日 19時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
まいまい - 最高すぎます!!更新まってます! (2020年11月3日 19時) (レス) id: 194af2ccd7 (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - ????なしさん» コメントありがとうございます!神!?なんと有難いお言葉、、!!頑張って書きますので、これからもよろしくお願いしますm(__)m (2020年11月2日 20時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:チーズ | 作成日時:2020年10月20日 19時

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