10 ページ10
・
産後三日ほどたっても一向に目を覚まさないAに、側付きを始め、周りの者はみんなAを心配していた。
「っ、」
「…ああ、なんとおいたわしい…」
意識が無いながらも苦しむAの姿に涙を浮かべた側付きは、Aの身体を拭いて差し上げようと灯りを持って手拭いを用意しに部屋を離れる。
そのあとすぐ、側付きが部屋を離れるのを待ち構えていたかのように入れ違いで部屋に入ったのは、灯りも持たない怪しい黒い人影。
温かい湯と手拭いを用意して部屋に戻った側付きは、閉めたはずのふすまが半開きになっているのを見て、Aが起きたのかと思い、笑顔で部屋に入る。
「お気付きになったのですね…!」
喜んだのもつかの間、そこに居たはずのAの姿は影も形もなく、代わりに置かれていたのは、命名、と書かれた三枚の紙。
「まさか…、」
その後しばらく、今回の出来事について、Aを大層可愛がっていた月彦があの世にAを一緒に連れて行ってしまったのだ、と一族中で真しやかに囁かれ、のちにそれは、真偽不明な一族の中での有名な伝承話となることになる。
1582人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
チーズ(プロフ) - manayattiさん» コメントありがとうございます!嬉しいお言葉をありがとうございますー!!こちらこそ、最後まで読んでいただきありがとうございましたm(__)m (2020年12月26日 22時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
manayatti(プロフ) - とても美しすぎて儚すぎる結末に声が出ないくらい涙しました。素敵な作品をありがとうございます。 (2020年12月26日 2時) (レス) id: 1471b15ec3 (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - 草薙@sadist_nagiさん» コメントありがとうございます!そして最後まで読んでいただきありがとうございました!かく言う私も、目から大量の海水をこぼしながらこの作品を書きました、、自分で言うのもあれですが、本当に切ない結末ですよね(;ω;) (2020年12月25日 15時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
草薙@sadist_nagi - …あれ…目から海水が(( (2020年12月25日 14時) (レス) id: b78cc7195a (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - ゆうこさん» コメントありがとうございます!もちろん気付きました〜!そんな風に言っていただけて嬉しいです!最後まで読んでいただきありがとうございましたm(__)m (2020年11月11日 23時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:チーズ | 作成日時:2019年11月29日 19時