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Aの着物と共に産屋敷の屋敷を出た無惨は、Aが好きだった干し柿を片手に、Aと共に長い時を過ごした辺境の屋敷へと来ていた。

「…懐かしいな」

一部屋一部屋を回ってAとの思い出を辿りながら、思い出すのはAの優しい笑顔、泣き顔、自分を好きだと言った時の熱のこもった潤んだ瞳。

好きだった。愛していた。
だから、鬼になってでも生きていて欲しかった。

もういくら想っても届かないAへの想いは、溢れて止まない涙となって無惨の頬を濡らす。

一通り部屋を回ってそのまま屋敷の外へと出た無惨は、もうすぐ明ける夜空を見上げて、干し柿を口へと持っていく。

「!」

根本的に身体が受け付けない味に思わずそれを吐き出してしまうが、無惨は気にせずもう一口頬張る。

「っ、」

すぐに無理やり飲み込んだ干し柿は、ゆっくりと食道を下りて身体の中へと入っていく感触を感じて、無惨は満足げに口角を上げる。

「綺麗な朝陽だ。…A…、A。私はただ、お前と…」

声になることはなかったその言葉の続きは、ゆっくりと灰となった無惨と共に、綺麗な朝焼けの空へと舞い散っていった。

あとがき→←13



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チーズ(プロフ) - manayattiさん» コメントありがとうございます!嬉しいお言葉をありがとうございますー!!こちらこそ、最後まで読んでいただきありがとうございましたm(__)m (2020年12月26日 22時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
manayatti(プロフ) - とても美しすぎて儚すぎる結末に声が出ないくらい涙しました。素敵な作品をありがとうございます。 (2020年12月26日 2時) (レス) id: 1471b15ec3 (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - 草薙@sadist_nagiさん» コメントありがとうございます!そして最後まで読んでいただきありがとうございました!かく言う私も、目から大量の海水をこぼしながらこの作品を書きました、、自分で言うのもあれですが、本当に切ない結末ですよね(;ω;) (2020年12月25日 15時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
草薙@sadist_nagi - …あれ…目から海水が(( (2020年12月25日 14時) (レス) id: b78cc7195a (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - ゆうこさん» コメントありがとうございます!もちろん気付きました〜!そんな風に言っていただけて嬉しいです!最後まで読んでいただきありがとうございましたm(__)m (2020年11月11日 23時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:チーズ | 作成日時:2019年11月29日 19時

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