ただ、お前と 【鬼舞辻 無惨】

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Aの止まらない血を見た無惨は途端に取り乱し、「やめろ！本気で死ぬつもりなのか！」と我を忘れたように叫ぶ。

「本気です！嫌ですか、悲しいですか！これが、貴方が皆さまにしてきたことです！」

さらに深く刃を食い込ませたAの首筋からは、溢れて止まない真っ赤な鮮血が着物の襟にシミとなって広がっていく。

「死ぬな、何のためにお前を鬼にしたと思っている！」
「それなら、皆さまの前で誓ってください！貴方はもう、人を殺さない！食べない！」

Aのその決死の言葉にも決して首を縦に振らない無惨は、「その刀を下ろせ！」とひたすら自分の要求だけを口にする。

「っ、」

Aが刀を持つ手にさらに力を込めると、どんどん刀がAの中に沈んでいって、あまりの痛みに震えるAの刀を見つめていた炭治郎が、思わずその手を引き止めるように掴んでしまう。

「…、炭治郎さ…」
「……」

無言のままに大粒の涙をこぼす炭治郎は、天元に抑えつけられている無惨のもとに近付いて、そのまま思いきり無惨の頬を殴りつける。

「な、なにをする！」
「…愛してるって、言ったんだ！…お前みたいなクズ野郎でも！Aさんは！」

そう言って感情のままにもう一度無惨を殴りつけた炭治郎は、「謝れ！」と大きな声で叫ぶ。

「Aさんに！今まで傷つけてきた全ての人たちに！誓え！もう人は食わないと！」

そのあとも「誓え！」と言いながら無惨を何度も殴りつける炭治郎は、しばらく殴りつけられたあと、Aの泣き顔を見てようやく「分かった」とうなづいた無惨に、ホッとしたような表情でAを振り返る。

同じくホッとしたような表情で微笑むAは、未だに血の止まらない首を押さえつけながらゆっくりとその場に座りこむ。

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