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「ようこそいらっしゃいました」
そう言って微笑んだ珠世に炭治郎は笑顔で、Aは会釈で挨拶を返して、奥の部屋に案内される。
そこで聞かされた鬼舞辻、もとい月彦が増やした鬼に付している呪いというものと、珠世が二百年かけて鬼にできたのは兪史郎ただ一人だという事実。
鬼を増やす気はない、と断言する珠世に拳をきつく握った炭治郎は、何か決意したような表情で「鬼になってしまった人を人に戻す方法はありますか」と珠世に問いかける。
「鬼を人に戻す方法は…あります」
そう言った珠世に「教えてください」と食いつく炭治郎に、珠世は今は薬はないという事を伝え、その薬を作るために、と二つの願いを口にする。
「珠世さんがたくさんの鬼の血を調べて、薬を作ってくれるなら…禰豆子だけじゃなく、たくさんの人が助かりますよね」
願いを了承した上でそう言った炭治郎に珠世が微笑み「ところで…」とAに目を向けた時、兪史郎の「伏せろ!」という声と、何かが破壊されるような音に、Aと炭治郎、禰豆子は慌てて身を伏せる。
「見つけた見つけた」
そう言って建物の外で笑い声を上げたのは、自らを十二鬼月と名乗る鬼二人。
後ろを気にしながら戦い苦戦する炭治郎に、Aも何かしなければと思考を巡らせるも、究極の飢餓状態にある今の自分の体力で何ができるのかと結局二の足を踏んでしまう。
その後もどんどん進んでいく戦況にAは何もすることが出来ず、男の鬼は炭治郎に首を斬られ、女の鬼は珠世の術により鬼舞辻の名前を口にし、先程話していた呪いにより死んでしまった。
「…これが、呪い…」
呆然としている炭治郎を置いて陽の光から隠れるためAが珠世たちと共に地下に降りると、Aはすぐに「何もできなくてごめんなさい」と申し訳なさそうに俯く。
「気にすることはないですよ。…ですが貴女は、そんなに鬼舞辻の血が濃いのに、戦い方を知らないのですか」
珠世の言葉に顔を上げたAが戸惑ったように「ごめんなさい」と呟くと、珠世は「責めているわけではありません」とAを落ち着かせるようにゆっくりとその背を撫でる。
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チーズ(プロフ) - manayattiさん» コメントありがとうございます!嬉しいお言葉をありがとうございますー!!こちらこそ、最後まで読んでいただきありがとうございましたm(__)m (2020年12月26日 22時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
manayatti(プロフ) - とても美しすぎて儚すぎる結末に声が出ないくらい涙しました。素敵な作品をありがとうございます。 (2020年12月26日 2時) (レス) id: 1471b15ec3 (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - 草薙@sadist_nagiさん» コメントありがとうございます!そして最後まで読んでいただきありがとうございました!かく言う私も、目から大量の海水をこぼしながらこの作品を書きました、、自分で言うのもあれですが、本当に切ない結末ですよね(;ω;) (2020年12月25日 15時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
草薙@sadist_nagi - …あれ…目から海水が(( (2020年12月25日 14時) (レス) id: b78cc7195a (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - ゆうこさん» コメントありがとうございます!もちろん気付きました〜!そんな風に言っていただけて嬉しいです!最後まで読んでいただきありがとうございましたm(__)m (2020年11月11日 23時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:チーズ | 作成日時:2019年11月29日 19時