後編 ページ20
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山奥で動物を狩りながら飢えをしのぎ、ごくたまに人里に降りて売った獣肉で得たお金を、着物や調度品を揃えるのに使う。
そんな生活を続けること数百年、いつからか、山から降りたときに「こんな真夜中に山から降りてきたのか?よく鬼に襲われなかったな」と声をかけられるようになった。
「鬼…?」
「そう。恐ろしい人食い鬼だ」
人食い鬼。
それを聞いてすぐにもうずっと会っていない月彦の姿が脳裏に浮かび、Aは慌てて頭を振ってその姿を振り払う。
会いたい会いたい。
心の中の声に気付かないふりをして、Aはその日も獣肉を売るために人里に降りていく。
「…こんばんは」
「ああ、お前さんか。いつもありがとうなぁ」
「こちらこそ」
代金と獣肉を引き換えて暗闇の中の客にAが微笑めば、頬をほんのり染めた客が「いっそ誰かの妾にでもなった方が、いい暮らしができるのに」と口角を上げる。
「…そんな、滅相もない。ではこれで」
「またよろしく頼むよ」
今では常客というものもつき、前より頻繁に人里に降りながら生活をしていたAは、十分生活に困らないほどのお金を手にでき、それなりに楽しく生活していた。
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チーズ(プロフ) - manayattiさん» コメントありがとうございます!嬉しいお言葉をありがとうございますー!!こちらこそ、最後まで読んでいただきありがとうございましたm(__)m (2020年12月26日 22時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
manayatti(プロフ) - とても美しすぎて儚すぎる結末に声が出ないくらい涙しました。素敵な作品をありがとうございます。 (2020年12月26日 2時) (レス) id: 1471b15ec3 (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - 草薙@sadist_nagiさん» コメントありがとうございます!そして最後まで読んでいただきありがとうございました!かく言う私も、目から大量の海水をこぼしながらこの作品を書きました、、自分で言うのもあれですが、本当に切ない結末ですよね(;ω;) (2020年12月25日 15時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
草薙@sadist_nagi - …あれ…目から海水が(( (2020年12月25日 14時) (レス) id: b78cc7195a (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - ゆうこさん» コメントありがとうございます!もちろん気付きました〜!そんな風に言っていただけて嬉しいです!最後まで読んでいただきありがとうございましたm(__)m (2020年11月11日 23時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:チーズ | 作成日時:2019年11月29日 19時