15 ページ16
・
「俺がやっていることは、ただの誘拐だ!…その相手の男も勘だけは良いようで、やましい事がないなら屋敷の中を改めさせろとしつこくてな!」
胡蝶にも迷惑をかけるが、今日一日だけ、Aをよろしく頼む!と笑う杏寿郎の表情を見つめながら、そこまでAの為に色々と手を尽くしてやれるのに、ただの友人だと言い張るのはやはり無理があって、しのぶは勝手に背中を押してあげる人が必要だと使命感めいたものを感じてしまう。
「…煉獄さんが、さっさと娶ってしまえば問題ないのでは?」
「!…そうか、その手があったな!」
余計なお世話とは知りつつも提案してみた言葉にあっさりとうなづかれてしまって、しのぶは拍子抜けすぎて「…本気ですか?」と問いかけてしまう。
「ん?冗談だったか?」
「いえまさか。…ただ、気が変わったなどと言って離縁を突きつけるのは、最低の行為ですよ。分かっていますか?」
「そんなことはしない!俺もいつかは身を固めなくてはいけない上に、Aは本当に良くできた女性だ!妻として、これ以上の人材はいないだろう!」
甘い要素が一つもない杏寿郎の言葉に、しのぶは長いため息をついて、「…夫婦となるからには、煉獄さんもAさんを女性として愛する努力をしなくてはいけませんよ」と杏寿郎を見つめる。
「うむ、善処する!」
杏寿郎の反応に、この結果がAにとって良かったのか悪かったのか分からず、しのぶは殿方に一目惚れされてしまうのも分かる、まるでお人形のようなAの笑みを思い浮かべながら、杏寿郎がAを好きになるのもそれを自覚するのも時間の問題だろうと思い至る。
「そろそろ行かなくては!」
「はい。お気を付けて」
大きな杏寿郎の背中を見送りながらしのぶが願ったのは、Aと杏寿郎、二人にとっての幸せが少しでも長く続きますように、と最も大切で、かつ明日も分からない身である自分たちには最も難しい、そんな願いだった。
1453人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
チーズ(プロフ) - みゆさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです!期待に添えるように頑張りますので、よろしくお願いしますm(__)m (2020年11月5日 18時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - よもぉぎさん» コメントありがとうございます!無限列車に乗車したんですね!私まだなんですー!煉獄さん現実に来て欲しいですよね、、更新頑張りますのでよろしくお願いします! (2020年11月5日 18時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
みゆ - 読ませていただきました!!煉獄さんがイケメン過ぎるし千寿郎は可愛くて お話が更新されるのを楽しみにしてます(*´ω`*)更新大変だと思いますが、無理せず頑張ってください☆ (2020年11月4日 8時) (レス) id: 010b0b49eb (このIDを非表示/違反報告)
よもぉぎ(プロフ) - はわぁ...素敵すぎます〜!!煉獄さんから愛されるなんて話数を積む事ににやけが増していきます!!無限列車にも乗車したんですがどれほど煉獄さんが現実にいたらと思ったんだろう。。更新頑張ってくださいー!!! (2020年11月4日 7時) (レス) id: 990295e7ae (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - パプピーマン。さん» コメントありがとうございます!好きすぎるだなんて嬉しいです!口角が富士山!言い回しが上手すぎて思わずクスッと笑ってしまいました、、!!関係ないですけど、今の季節の富士山はめちゃくちゃ綺麗ですよね〜(笑)更新頑張りますのでよろしくお願いします! (2020年10月30日 11時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:チーズ | 作成日時:2020年10月8日 14時