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「あ〜〜お姉ちゃん!こっち!」
「佑亮!ごめん遅れて…っ、」
病院の最寄りに着くと既に佑亮が待っていた。佑亮は私の手元を見ると、ぱっと目を輝かせた。
「お花綺麗〜」
「さっき買ってきたの、可愛いよね」
「うん!おじさん喜びそう」
行こっか、と言ってさりげなく荷物を持ってくれた。佑亮もこんな事してくれるようになったんだ…泣きながら私の後ろを付いてきてた小さい頃からは想像もつかない。
幸いおじさんは大したことなくて、1週間くらいで退院できるらしい。しばらく雑談して病院を出るともう夕方になっていた。オレンジの夕日を見ながら2人で駅へと向かっていると、佑亮からの唐突な質問。
「お姉ちゃん結婚しないの?」
「………まだしないかな」
「えーなんで?ほらあの、海さんは?」
「……………」
「………?」
そういえば佑亮は海に会ったことがあるよな。たった1、2回だけだと思うけど、佑亮は海に懐いてた気がする。海も佑亮を可愛がってくれてたし。
「………別れた」
「えっ?!えっ………なんで?!?」
「……色々あって。…もういいんだよこの話は」
びっくりして立ち止まった佑亮を置いて歩みを進めた。けど佑亮は笑ってまたすぐ私の隣に並ぶ。
「……そっかあ…僕、お姉ちゃんは海さんと結婚するって思ってたけど………」
「………」
「海さんと付き合ってた時お姉ちゃん、幸せそうだったし…」
「……幸せ、だったよ」
「でも今はそんなに不幸そうに見えないな〜…ほんとに別れちゃったんだよね?」
まじまじと私の顔を見る佑亮の目はキラキラしてて。私は昔から、佑亮のこの目で見られるのがちょっと苦手というか。我が弟ながら、綺麗すぎて緊張する。
不幸そうに見えないのはきっと、ユーキのおかげだけど。もし彼がいなかったら、私は今頃立ち直れなかったりしてたんだろうか…
「お姉ちゃんが早く結婚できますように!」
「佑亮もさっさと家庭持って落ち着きなー」
「そんな事言ってたらお姉ちゃんより先に結婚しちゃうかもよ?」
「それは絶対ない」
「あーんなんでー!」
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エリンギプール(プロフ) - 続きが気になります! 大変だとは思いますが、更新待ってます! 頑張ってください (2018年12月15日 23時) (レス) id: b1e7a3c80b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:な な . | 作成日時:2018年10月10日 23時