24 ページ24
.
僕は、どうしたらAを幸せにできるのだろう。
初めて通る道。
知らない道。
知らない人しかいない。
立ち止まれば肩と肩がぶつかって、なんだか窮屈な世界。
みんな、Aも、この世界の中で生きてて。
僕は外の世界なんか全く知らなくて。だってずっとAと一緒にいて、それが幸せだったから。
でも、Aの幸せって、なんなんだろう。
僕は正直、Aは海って奴と結婚すると思ってた。それが一番いいとも思ってた。そしたら2人と僕、2人と一匹で暮らしていくんだって。海って奴の事はあんまり好きじゃなかったけど、あいつならAを幸せにしてくれるって思ってた。
泣いても何もしてあげられない自分が嫌で嫌で。
僕が人間なら、Aを抱き締めて、泣かないで、って言って、僕なら…って……なんて考えながらあてもなくずっと道を歩いていると、急に後ろから肩を掴まれる。
「……お前、」
「…………あ、」
これがAなら良かったのに、なんて思ってしまったのは、Aの所に戻りたいからだと思う。
でも自分がどうするべきか考えたら、あそこにはいるべきじゃないと思ってしまって。
「なんでこんなとこにいるんだよ」
「………」
「…Aは?」
やっぱり僕は、この海って奴があんまり好きじゃない。
「……Aは、多分家だよ」
「…お前、Aの何なの?」
「………もうAに関わるのやめてよ」
「……」
「…ねえ、」
「……なんで、Aの事、幸せにしてくれなかったの?」
ぐしゃぐしゃと頭の後ろを掻いて、溜息を吐く。苛立ってるんだろうな、ってすぐ分かる。海は僕の目を見据える。2人の間に流れる微妙な空気は、こんな天気のいい日に似合わない、
「………なんでだろうな」
「……」
「………そんなにAが好き?」
「…………大好きだよ。この世で一番大事な人」
.
359人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
エリンギプール(プロフ) - 続きが気になります! 大変だとは思いますが、更新待ってます! 頑張ってください (2018年12月15日 23時) (レス) id: b1e7a3c80b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:な な . | 作成日時:2018年10月10日 23時