Only you . (ページ31)

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「……………ゆう、き……」

そこにいたのは確かにユーキだった。綺麗にアレンジされたお花を抱えた彼は、泣いてる私の顔を見ると少し目を潤ませながら笑った。

「……はい、どうぞ」

「っ……、」

「………Aまた泣いてる」

彼は空いた手で私の頬を拭ってくれたけど、自分だって泣いてるじゃん。言いたいこと、聞きたいことはたくさんあったけど、いざ目の前にするとうまく言葉が出てこない。

「ユーキちゃんと出来たんか～？……何お客さん泣かせてんねん」

「……晃一、Aだよ」

「………お～あんたが！……確かにええ女って感じやなあ」

泣いてる私達を見てにっこりと笑った、晃一と呼ばれた人。その人は私とユーキの頭をくしゃくしゃと撫でると、「２人して泣くな」と笑いながら言った。

「ところで、お姉さんお見舞い行くんとちゃうの？」

「あっ……」

そうだった。今までの衝撃ですっかり忘れてた。スマホを見ると既に佑亮から数件のメッセージが。

行かなきゃいけないけど、でもユーキが…という思いで彼の顔を見ると、「ん？」と首を傾げる。……あ、この仕草やっぱり変わらない……って、そんなすぐ変わらないか…

「………僕、ここにいるから」

私の手を握ってしっかり目を見てそう言った。見ない間にまたいなくなってしまうのではないか、という心配は正直心の片隅に残っていた。

「Aの事なら、いつまでだって待ってる」

「……わかった、絶対待っててね」

「うん！」

後ろ髪を引かれつつ、花屋を後にする。電車に乗っている間もなんだか心がフワフワしたままで、夢のよう。

でも夢じゃない。彼はちゃんとあそこにいた。

握られた手の感覚も、あの柔らかい空気感も、全部本物だった。

「…お前の言う事はほんまクサいわ」

「晃一には無理だよねー」

「うっさいわさっさと働けや！！」

「こわいー！」

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