Only you . (ページ17)

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「ただいまー…」

２０時半か…。結局いつもより遅くなっちゃった。リビングに入ると膝を抱えて床で寝てるユーキ。起こさないようにと静かにカバンをソファーに置いたけど彼はすぐに目を覚ました。そして私の顔を見るとすぐ駆け寄ってきてぎゅうっと抱き締められる。

「Aー……おかえり」

「ごめん遅くなって…友達とご飯食べてきた」

「ん……」

「なんか食べるよね？一応食べるもの買ってきたんだけど、」

少し体を離してそう言ったけど、ユーキはまたすぐ私を抱き寄せる。深く息を吸うとぽつりと言った。

「……煙草の匂いするね」

「うん友達が吸っ……」

すん、と首元で息を吸ったのを感じたのも束の間、首筋に彼の唇が当たった。突然の事に身体がピクリと反応する。

「……男だよね？………男の匂いする」

そう言うともう一度唇を首筋に押し当てる。そこにチクリと痛みが走ったのはその直後だった。びっくりして思わず体を押し返して離れると全く笑わず私を見つめるユーキ。…なんか少し怖い。

まん丸で、でもどこか鋭い瞳は本当に猫みたいだといつも思う。私はその目に見つめられると何故か動けなくなるという事に最近薄々気付き始めた。

「その匂い嫌い」

さっきまでの雰囲気とは一転して、ふふ、と笑ってそう言ってソファーに戻って行った。しばらくその場に立ち尽くしていると、また優しく笑いながら「お風呂入ったら？」とユーキが言った。気付けば彼は、勝手に自分でお風呂に入るようになっていた。

「…………びっっくりした……」

脱衣所の扉を閉めるのと同時に脚の力が抜けた。ドクドクと分かりやすく心臓が音を立てる。鏡で自分を見ると耳まで真っ赤になってて、首筋には赤い痕が残っていた。

………なんで急に、あんな事したんだろう……

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