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54:gasshow ページ5

【イリオン】

創は並盛病室のとある病室の前で立ち往生している

「(…いま仮に寝てて、起こしたらトンファー)」

「(仮に報告しなくてもトンファー、何で電話が繋がらないんか)」

彼は持った2つのフルーツバスケットを交互に眺めながら、中に居る人物に物騒な思考を馳せていた
その表情は困惑しているし、忙しなく体を左右に揺らしている

遠目から見れば、その様子は完全に不審者なのだが

「……入って」

暫くして、その室内から彼に入室を促す声が響く

しかしそれを聞いても行動に移さない彼に、中から扉に向かって何かを投げつける音がした
その時創はびくりと肩を震わせ、目線を手元から音がした方へ移す

彼は次の音が聞こえない事を確認してから、しゃがんで病室の扉を開いた

「……風紀委員長…お元気?」
「やぁ、元美化委員長…元気なら入院してないよ」

彼は雲雀の見舞いに来ていた
大人しくそのままの姿勢で入室すると、何も起こらなそうな所を見て立ち上がる

雲雀は体を起こし、その様子を大人しく見ていた


「もうベッドからは出られるん?」
「…うん…院長はあと少しだって」
「……じゃあ、あの子の所は?」

問いかけても反応は無い
それもそうだろう、あれは委員長からすれば苦しい光景なはず

「(外傷は全く無し、理由は委員長を誘い出す為だった)」

僕の想像が外れて嬉しいけれども
顔を合わせて会話したいとか思って無いけれども

これは何時もと理由が違う

「(思えばあの時、不思議なくらい起きなかった)」
「…あなたは悪くない」
「…おぉん?」

彼が突然らしくない言葉を僕に投げつけてくる
僕は驚いて委員長の顔を見てしまった

そんなこと言うタイプではないし、今までだってそうだったはず

「……雲雀氏…頭の調子も悪いんか?」
「…本当に失礼な人だね」
「突然どしたん?」
「…きっと、あの子はそう言うから」

「(おぉん…自分を責めておられる)」

気持ちは分からないでも無い
でもこんなにしおらしく成られると、こっちの調子まで狂う

話題を変えようにも良いのが無いから、静かに委員長から話すのを待つ事にした

「…何故か、あの子の傍に行きたくなる」
「あー…お前の居場所感あるよね、想像つくわぁ」
「それは分からない」
「おぉん…」

「でも…」
「(フルスイングで空振ったなぁ)」
「…今は、あなたの言葉を守ってる訳じゃない」
「…理由は無くても良くね?お前の好きにすれば」

彼はその気持ちが何なのか、気づいてないのは分かった

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作者名:ゆきみ大福 | 作成日時:2021年1月14日 22時

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