176 ページ4
『こ、これが、ジェットコースター……』
目が覚めた場所の近くにそれが止まっている駅があったので少し観察してみることにした。
乗ったら勝手に動くパターンなのだろうか？スイッチとかが見当たらない。
彼が来るのにはもう少し時間がかかりそう。
『この道を通って、あそこで1回転！？落ちないか心配だ……』
席に座る勇気がない。
この独り言も聞かれてたらどうしようか。
「乗んねぇの？」
『……』
全部聞かれてた。
『いつのまにいたんですか？』
「お前がコースターの道順確認し始めた頃から」
『嗚呼…』
「ほら。気になってたんだろ？俺後ろに乗って見ててやっから」
隣が良かった。
乗り慣れているであろう貴方に手を握っていて欲しかったのだけれど。
『わ、わかりました』
乗ってバーのような物を下ろした瞬間に、ガタガタと動き始めた。
「1ついい事教えてやるよ」
『なななななんですか？』
「1番前と後ろに座ると恐怖感を感じやすいんだぜ？」
『待って何でそれ事前に教えてくれなかったんですか、あ、1回転だけは嫌だｱｱｱ！！』
後ろの彼が爆笑しているんだろうが、それよりも言葉に出来ない恐怖が自分を襲った。
『ほんと意地悪……もう絶対乗りませんから』
「ここに来るまでに一時停止ボタンを全部オフにしてきた甲斐があったな」
『悪魔ですか』
「ちょっと待ってくれ、笑いが、込み上げてき、てっ、ふはっw」
終点に着いてすぐに乗り物を降り、そばの手すりに手をかけて蹲った。
爆笑の渦に巻き込まれた彼をキッと睨む。だが効果無し。
『貴方と隣が良かった』
「何で？」
『僕の全てを守ってくれる気がしたから、怖くても手を握ったりしてくれると思ったから』
「そう、か。カスタムでだけ隣に乗れるよう上に掛け合うのも悪くないな」
『息が整うまで待っててくれませんか』
「口貸せ。口から息入れっから鼻呼吸してろ」
気道確保の為に、人工呼吸をされる時みたいに少し上を向かされる。
口に彼の吐き出した息が流れ込んできて少し楽になる。
「ん……大丈夫か？」
『はい、ありがとうございます』
「俺もちょっと危なくてな。1番後ろに乗って調子乗ってたら過呼吸になりかけるっていうザマだ」
『お互い様という事で』
爆笑してたのも入るのでは？なんて、口に出すのはやめた。
『顔赤いですよ』
「ラルもな」
名前を呼んでくれた事に対して礼を言うのも少し恥ずかしい。
いちいちそんなことでってね。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 122人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「第五人格」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
白狐-bilyakko-(プロフ) - リパ推しの雪さん» ありがとうございます！(*´`)更新頑張ります！！ (2021年3月1日 9時) (
レス) id: 6701540cff (このIDを非表示/違反報告)
リパ推しの雪 - すごい素敵な作品ですね！更新頑張ってください！応援してます！ (2021年3月1日 5時) (レス) id: e92c1b8c9b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：白狐ーbilyakkoー | 作成日時：2021年2月27日 1時
