あの傭兵に妹がいたようで【第五人格】 (ページ19)

今日:16 hit、昨日:1 hit、合計:176,171 hit

17 ページ19

白黒無常(謝必安)side

「♪～♪～～」

「白はん随分とご機嫌やなぁ。試合でなんか良い事でもあったん？」

「ふふっ…昨日の試合で久しぶりに完全勝利をしたんです」

「喜ばしい事やね」

談話室へと続く廊下を美智子さんと歩いていると、何やらうごうごと蠢く物を捉えた。

「なんでしょうあれ…」

「ハスターはんやない？館内で触手は出さんといてってあれ程言ったんに…！！」

美智子さんが般若の形相で近づいていく。

「ハスターはん！いつも出さんといてって言うとるやな(((「芸者か。此奴はどうしたら良い？」

般若の美智子さんに物怖じしないハスターさん…ある意味凄いと思います……。

太い触手が巻きついてる物、人間でしょうか。
白目を剥いて手足をだらんと垂らして何かを念仏のように唱えています。

『僕は美味しく…ないです…殺すなら痛くない方法でお願いします…すみません前言撤回です助けて下さい神様……』

「「………………」」

「談話室の前で倒れておった」

「ハスターはんを見て倒れたんとちゃう？」

「取り敢えず中に入れますか……あぁ、人は脆いんですから…大切に扱う様に…」

3人でドアを開けて中に入る。
美智子さんはまだ不服そうですが。

「チェックメイトですジョゼフさん」

「あー！！…もう一戦だリッパー。次負けたら君が今日やるアイテム補給係を代わってあげよう」

「ほう…じゃあ私はこのワインを……あらお三方、そこで何していらっしゃるんです？」

中に入ると、リッパーさんとジョゼフさんがチェスをしていました。
中国の象棋と似たものでしょうか?

「リッパー、この人の仔について知ってる事はあるか」

ハスターさんがリッパーさんの足元にさっきの人をべしっと投げつける。
試合じゃないんですから…

「何ですかいきなり！
…あぁこの子、サバイバーですよ。私の顔に催涙ガス3回も吹っかけた猛者です」

「リッパーさんが珍しく4逃げされた試合の話ですか？」

「言い方に気をつけたほうがいいですよ貴方。ほーら起きてください衛生兵君…」

リッパーさんが揺り動かしてもその人は起きる気配がない。

「ハスターのその顔の中…深淵だっけ。そこにぶち込んだらいいんじゃないかな」

「ふむ…試してみようではないか」

ジョゼフさんの提案により深淵に顔が入る一歩手前、

「ハスター様の深淵に入っていいのはこの私めだけです！！」

後ろからそんな声がしました。
___________
象棋＝シャンチー