あの傭兵に妹がいたようで【第五人格】 (ページ12)

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イライさんと別れた後、ハンターに気づかれない程度の場所の暗号機に触った。
もしあの場所に居座っていたなら、今の彼みたいに椅子に座らされていた事だろう。

まぁ彼は傭兵によってすぐに助け出されたのだが。

『まぁ…スリル感満載のゲームって感じ？ハンターだっけ？背ぇ高いよね…何？元からああなの？神様本当無慈悲だよね。だから軍仲間からも馬鹿にされんだよ』

独り言をたらったら並べながら解読していく。
大きなドアをチラチラと見ながら。

ドアの横に大きめの電卓みたいな機械がある。
あそこに入力してあれを開けるんだろうか。

不意に大きなブザーがなり響く。

『終わり？でもこれ開けないとここ出られないよね…』

電卓に手を伸ばして入力していく。ドアが開いて脱出可能になる。

そんな時、心臓が波打ってハンターの接近を知らせた。
少し後ろで赤目のハンターが誰かを座らせていた。

『誰…お兄…ちゃん？』

初回吊りの彼は早く逃げろと僕を急かす。
だけどそんなことしない。僕は彼の元へと走った。

「何で来たんだよ！いいって言ったろ！」

『黙れ子雀』

「は？」

自分でも何でそんな言葉が飛び出したのか分からない。
仲間にも言われた。
戦争のだけ口悪くなるの何で？って。
…………知らない。大佐のが移ったんだ。

壁や板を上手に使いハンターを上手く撒いていく。

「ちょこまかちょこまかとすばしっこいんですよ！貴方の方が雀で……ゲホッゲホッ」

ハンターの言動を無視し、救助する前に毒ガスを放ち彼を立たせる。

『ドアは開いてる！走れ！！』

彼の後ろに立ち、羊を追いかける牧羊犬の様にドア内へと追い込む。

ハンターの位置は自分のほぼ後ろ。もうすぐハンターはその手を振り上げるだろう。

もう……いいか。

貴方を助けるのはこれで何度目？
気付いてないかもだけど、僕と貴方は戦場で2度も顔を合わせてる。

1度は負傷兵、2度目は捕虜として。

上は殺せと言ったけれど僕はそれが出来なかった。
僕は貴方を治療して逃がした。

貴方は僕とは違う地にいることは痛いぐらいに分かっていた。

名前を教えてくれと頼む貴方に僕はこう返した。

『次会った時でも良いですか？』

って。

僕は目の前の彼に照準を合わせ、傷を肩代わりした。
同時に背中に激痛が走る。

でも声は出さずに彼をタックルする形で中に押し込む。

彼は消える。

血溜まりに落ちる。

ハンターの高笑いだけが残る。

意識が朦朧としてきた。