運命のヒト【さとみ】

＊ ページ10

次の駅でAさんが降りる。

A「……」

またねだるような空気が漂う。

A「連絡どうやって取りましょうか」

ああ…連絡先か。

俺に聞かせたいんだな。

さとみ「ああ…」

聞いてもいいんだけど、ちょっと意地悪したい。

俺のいじめっ子心がうずうずする。

さとみ「明日またこの時間の電車で会う？」
A「私明日夜遅いんです〜」

夜遅いって、それはそれで心配だな。

さとみ「じゃあ…どうしよっか」
A「……」

Aさんからの視線が痛い。

『もう！なんで聞いてくれないの？！』
って聞こえてくるみたい。

さとみ「くすくすw」
A「なぁんで笑ってるの！！！」

君がかわいいからだよ。

さとみ「連絡先、交換しよっかw」
A「うん」

ケータイの画面を操作するAさん。

なんとなく危なっかしい。

俺はさりげなくAさんを支えられるように
少し後ろに立つ。

A「あっ、」
さとみ「ん？」
A「何も…ないです、」

何だろう。

ほんのり頬が紅い気がする。

……ああ、男か。

A「はい、これです」
さとみ「ん、追加した」
A「ありがとうございます」

AさんのLINEゲット。

トプ画なんだろ、犬？ペット？

さとみ「ペット飼ってるの？」
A「はい！トイプードルです」

画像を探して見せてくれる。

茶色でふわふわなトイプードル。

さとみ「かわいいね」
A「でしょう？自慢の子です」

トイプードルももちろんかわいいけど
自慢気に鼻を高くするAさんがかわいい。

さとみ「俺も猫と犬飼ってるよ」
A「え！見せて見せて！」

ひなとモカの画像を見せる。

距離が近くなる。

ふわっと優しい香り。

A「かわいい…！今度会わせてください」
さとみ「……」

待ってね、それはさ、家に呼んでってことだよね？

いいの、それ。俺何するかわかんないのに。

さとみ「今度ねw」

彼女の駅についた。

Aさんはこちらに会釈して
出口に向かった。

さとみ「あ、」

その時にAさんのケータイのロック画面が見えた。

……男とのツーショットだった。

しっかりと見えたわけじゃないけど
Aさんと男の顔が確認できた。

ああ、やっぱり…

俺の予想は当たってたんだ。

さっき意地悪したから罰が当たったのかもしれない。

￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
予想的中

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