運命のヒト【さとみ】

＊ ページ16

ころん「さてー、で、何あったの？」
さとみ「え？」

ほろ酔いだった頭が一気に冷める。

ころん「やっぱ男いたの？」
さとみ「……」

エスパーかこいつ。

何も考えてなさそうで
勘鋭いなあ。

さとみ「今日も弄ばれてきたんだよ〜、俺。」
ころん「えらいでちゅね〜さとみちゃん」

めっちゃニヤニヤして言ってくる。

さとみ「そーだよ、俺耐えたんだよ」
ころん「そりゃバーとか…誘ってるみたいなもんだもんな」

そう。

それ、計算なのか何なのか。

さとみ「男いるよ…あれ。」
ころん「やっぱ〜？さとみくんがナンパした時も泣いてたんでしょ〜？」
さとみ「おー」

てかなんであの時にはっきり気付かなかったんだ俺。

あの時に諦めてたら良かったんじゃん。

あれ、絶対男ん家の最寄りだろ。

さとみ「なぁんで惚れたかなあ…」

めんどくさい所に
手、突っ込まなきゃよかった。

ころん「惚れちゃったんだもんね〜？言ってたもんね〜？ww」
さとみ「うぜぇww」

ぽろっと言ったこと
全部拾って一生言ってくるからだるいんだよなw

ころん「僕が推理してあげるよ」
さとみ「お前には頼まねぇよ」

ころんがわかるんだったら
猿でもわかるわ。

ころん「いいじゃん教えて」
さとみ「聞きたいだけかよ」
ころん「そうだよ」

完全に開き直ってやがる。

まあどうせ酔ってるし、
明日んなったら忘れてるだろう。

俺は飲んでいたグラスを空にして
話し出す。

さとみ「まずぅ、電車で見つけたの！Aさんを！」
ころん「おー」

ちゃんと聞いてるのかどうかはどうでもいい。

俺が頭を整理したかった。

あと多分、誰かに聞いてほしかったんだと思う。

さとみ「一人だけね、ビシって立ってんの！」
ころん「勃ってんの？！えろいな！！」
さとみ「そ！ギンギンなの！！」

なんの話だよ。

もう、何でもいいや。

さとみ「んじゃあ目合ったの！そしたら俺…もう…」

いや、これは俺の大事な思い出だから、
これ以上言わないでおこう。

ころん「もう、なに？」
さとみ「いや、やめる」
ころん「なんでだよ！気になるじゃん！」

申し訳ないけど言わないもん。

さとみ「今日の小悪魔話を聞かせてやろーぞ」
ころん「うぇ〜い」

そして俺は、
今日男のイメージが湧いたことと、
俺への呼び方が変わったことを伝えた。

ころん「……へぇ」

半分寝てるこいつに。

……ったく、俺もどうかしてるよな。

恋にも酒にも酔ってる。

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