憎しき彼に華を【神威】

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ーーー私の部屋を用意しろ、と神威に言っているのだが、どうやらこの戦艦にはもう空き部屋がないようだ。


「独房だけは死んでも嫌」と言い続けていれば、半ばめんどくさそうに顔を歪めた神威は「なら、俺の部屋？」なんて言ってきた。




『馬鹿かよ』


「ん？なんか言った？」


『私、一応暗殺者なんですけど。一緒の部屋だなんて夜中襲われても文句言えませんよ』


「俺、襲われるの？君って意外に積極的なんだね」




"襲う"のどこを勘違いしたのか、私をジト目でみてくる神威に全力で首を振る。「そっちの意味じゃない」と睨みつける。


だが、しかし。
独房が嫌ならば、他の野郎の部屋にいるよりかはこいつと一緒にいた方がいい。




「積極的な女は嫌いじゃないよ」


『何言ってんですか。そっちの襲うじゃないから。アンタのその首を狙ってるの』




刀を鞘から取り出して、神威の首筋にあてがう。
彼はピクリとも動かずに、ただ無表情のまま私を見つめて。それが面白くない私は、刀を離して鞘に収めた。




「それに君は、人の寝込みを狙うほど落ちぶれちゃいないだろ。そんなもので得た勝利なんて誇りには思わない、ーーーそうだろ？」


『……よくわかってるわね』





「んじゃ、俺の部屋決定ね」と私に再び背を向けた神威に走って行く。「あんた臭い」と言うと自分の脇の匂いをかきだした彼に「そっちじゃない」と言ってやる。




『ーーー血のにおい、』




『アンタからはいろんな血のにおいが臭ってくる。その中にアンタの血のにおいも混ざっているのかしら』


「さぁどうだろうね。ただ、自分のよりか敵の血を浴びる量の方が多いってことは確かだよ」





「はい、到着」といつのまにか神威の部屋についており、その話はもう終わり、とでも言っているのかのように神威は何も喋らなくなった。




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