憎しき彼に華を【神威】

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鼻唄を歌いながらスキップをする神威の後に続く。何故だ、こんなに上機嫌な奴を見て腹立たしく思うなんて滅多にある事じゃないはずなのに。

揺れる三つ編みをぶち切ってやりましょうか。





『ーーーーおい、クソボケ団長』


「おい、口の聞き方に気を付けろ新入り。宇宙にぶん投げるよ」


『…あの、団長』


「うん」


『何処に向かってやが……向かってるんですか？』

「君には調教が必要みたいだね」





ふむふむ、と何やら物騒な事を吐いたソイツ。まさかこの男、沖田さんと同じタイプだったのか。

そんな事を考えながら軽快なその足取りに目を凝らす。奴の行動パターンを頭に叩き込んでおけば後々役に立つはずだから。


不意にそのスキップが止まった。足元に目を落としていた為に勢いのまま神威の背中にぶつかる。「ぐぶっ」と間抜けかつ間抜けな声が出てしまったが、それよりも。





(ーーーコイツ、血の匂いが凄い)





先の阿伏兎とかいう男もそうだったけど。鼻をつくような鉄の臭い。真選組に居れば嫌という程嗅ぐその臭いは、嗅ぎ慣れていても好きになれるものじゃない。

･･･はて、この沢山の種類ある血の臭いのうち、どれがコイツのものなのか。





「何してんの、嗅ぐな」


『……くっせーな』


「ぶっ殺されたいの？」





危ない危ない。神威には口の聞き方に気を付けた方が良いのだった。奴はすぐに殺気を出すから、恐らくは常に戦闘態勢なのだろう。


……まぁそっちの方が燃えるものであるけれど。





「部屋に戻るんだよ。昼ドラを予約しておいたから」


『そうなんですか。なら私も部屋に……私の部屋って何処？』


「え？あるわけないだろ、君侵入者なんだよ？なんなら広い広い独房でも用意してあげるけど？」


『ご丁寧にどうも。でも私、モーニングティーが用意されたゴージャスな部屋がいいわ、団長』





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