色柱は男好き。ー弐ー【鬼滅の刃】

男好き79 ページ34

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『何処に居るのかなー』


暫く庭を歩き回って見たが、姿が見つからない。






しのぶちゃんの屋敷って、もしかして私の所より広い？



まぁ一番人が集まる場所だからなぁ、なんて事を考えながら足を進める。









何度目かの角を曲がると、


綺麗な蝶を頭に添えた、サイドテールの少女が目に入った。
　


やっと見つけた、









『カナヲ、ちゃん？』



私がそう言葉を発すると、長い髪が揺れ、
ゆっくりと顔が此方に向いた。






私を見る彼女の顔には、急に呼ばれた自分の名前に驚いた素振りはなく、


当たり障りのない微笑みを浮かべ、私をただ静かに見つめていた。





何でしょうか？


口を動かさずに、私にそう問いかけている様だった。



　



『表情は…あの頃よりはいいみたいだね。

あのコインは、まだ使ってるの？』


彼女は先程より少し口角を上げ、目を細める。





未だにこの子は自分の意思で話す事が出来ない様だ。



いや、出来ないのではなくて、

しようとしていないのか。





そんな様子に、私は行き場のない切なさを覚える。







『じゃあ、私と話すか話さないか、

コインに聞いてみようよ』



私がそう言うと、


彼女は内ポケットからコインを取り出した。

　


私はそのコインを受け取り、パチンッと親指で弾く、




『表が出たら、少し、私とお話してねー』





コインは重力に逆らい、真っ直ぐ上に上がった。

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