お隣の諸伏くん

お隣24日目 ページ26

『は、っ早く帰ってよ！お母さんには絶対、会わせないから！』



「あ"？」



『あんたなんて、お父さんなんかじゃないもん！！！』





この時の私は、どうかしていた。



この男に説教なんて効くはずもないし、ましてや自分よりずっと小さい子供に怒鳴られるなんて確実に怒りのスイッチを押すに決まってるのに。




そしてついに





「ああ、お前がいるからアイツも俺の言うことを聞かなくなったんだよな…お前がいるから…っ！」




いきなり立ち上がって、食器棚へ向かい…大きめなお皿を取ると私の方へ寄ってきた。





『やだっ、やめて……こっちに来ないで！！』




「うるせえよ、いつもいつもうるさく喚きやがって！！お前らは！！俺の言う事だけきいてればいいんだよ！！！」




ｶﾞｼｬｰﾝ!!




逃げようと背を向けた途端、襟元を掴まれそのお皿で殴られる。



そんな時だった、家のインターホンが鳴ったのは。





「…誰だよこんな時に……、お前、余計な事すんじゃねーぞ、したらマジで殺すからな」






誰が来たのかは分からなかった、薄いお皿だったけどそれなりに衝撃はあったから。





回らない頭で必死に考える、今私が何もしなかったら…このままお母さんが帰ってきちゃったら……またあの時と同じだ。






お母さんが、ずっと泣いてたのを私は知っている。





今だけ頑張るから、お母さんが笑っててくれるなら叫ぶから。





『…っ！助けて！！』





誰でもいい、私とお母さんを助けて。

お隣25日目→←お隣23日目

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す