お隣の諸伏くん

初めまして ページ1

小学校、4年生の夏休み


お隣に引越しトラックが止まった、少し小さめなトラック。



お隣さんが引っ越したなんて聞いていないから不思議に思い見つめていた。



トラックの後ろにある車から降りてきたのは私と同じくらいの男の子。



私の視線に気が付いたのかこちらを見て視線が合ってしまった、何となくびっくりしてカーテンに隠れた。


『わわっ………』



勝手に見ておいて、気付かれたら隠れるだなんて我ながら変な子だと、今なら思う。




「Aー、ちょっと降りておいでー」


『はぁーい！』



インターホンが鳴ったと思ったらお母さんに呼ばれる、幼い私は呼ばれた理由なんて考えずに階段を降りていく。




『おかーさんなあに、…ぁ』


「お隣に引っ越してきた諸伏景光くんですって、Aと同じ歳だから仲良くしてあげてね」




小さく声を漏らす、向こうはあんまし驚いてないからちゃんと分かっていたのかもしれない。




『あの、よろしくね。宇野Aです…』




ちょっと人見知りしがちな私はかなり勇気を出して声をかけた、けれど返ってきたのは沈黙、無言。



様子を見れば私とお隣のおばさんを交互に見てた。



返事が貰えなくて恥ずかしさと寂しさでへこんできた時、おばさんが慌てて話す。


「あっ、ごめんねAちゃん。景光ね、ちょっと色々あって声が出ない状態なの」

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