10やよ ページ11
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何時ものように庭に出て、朝の日課の花の水やりをする。
綺麗に咲き誇る向日葵は、どれも太陽に向かって伸びていて面白い。
明るく咲くマリーゴールドは、いつも俺に笑顔を分け与えてくれる。
「綺麗だねぇ」
ボソッと優しく呟く。
「えぇほんとに。あ、これ手紙です」
いつの間に居たのだろう。
俺がよく頼む郵便屋さんが、庭の柵ごしに此方に手を伸ばしていた。
「なんで毎回そこからなんですか…」
「だってひとらん様がビックリする顔面白いんですもーん♪」
「はぁ…これグルちゃんに報告しようかな…」
冗談のつもりで口に出した言葉に、郵便屋さんはビクッと反応する。
「そ、それだけはご勘弁を…!!」
「ふふっ、冗談です。有難うございますね」
「はい!ではまた!!」
手をブンブン振って去って行く姿を見届ける。
そして手元にある手紙を見る。
“山の精霊”さんからだ。名前のセンスはどうかと思ったが、面白い人だというのが第一印象だ。
“山の精霊”さんが親に向けて書いた手紙が、郵便屋さんによって間違えて俺に送られてきていたらしい。その手紙を読んだ俺は、なんだかコネちゃんと雰囲気が似てるなと思った。
字面とかは全然違うけど、文から伝わる大雑把さがなんだかコネちゃんと姿が重なった。相手にそれを伝えると、それは面白いですね、と返ってきた。
俺は“山の精霊”さんに嘘をついて、庶民っぽい文面で書いている。彼?からは俺の事は“手紙の彼”と呼ばれているらしい。嬉しいような変な感じ。
水やりを終え、庭のベンチに腰掛けて手紙を読む。
内容は、昨日は雨が降っていた事、そのせいで鶏の小屋へ入れる羽目になった事、更に沢山本を読んだ事が書かれれていた。
本当に他愛もない事で、これがまた楽しい。
早く返事書かなきゃな。
そんな事を思いながら、俺は庭を出て、自室に手紙を置き、皆が待っている食堂へ向かった。
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みずがみ。2(プロフ) - ぜにがみさん» 有難うございます〜!! (2019年8月6日 19時) (レス) id: 679c2618a4 (このIDを非表示/違反報告)
ぜにがみ - 完結おめでとうございます〜。これからもみずがみ。さんを応援させていただきます〜。これからも頑張って下さい!!! (2019年8月6日 13時) (レス) id: 417a32e7b4 (このIDを非表示/違反報告)
みずがみ。2(プロフ) - しほさん» 有難うございます!! (2019年8月5日 22時) (レス) id: 679c2618a4 (このIDを非表示/違反報告)
しほ(プロフ) - 完結おめでとう御座います〜!密かに応援させて頂いてました。とても魅力的なお話、いつも有難う御座います。これからも楽しみにしています! (2019年8月5日 21時) (レス) id: 0d336d7836 (このIDを非表示/違反報告)
みずがみ。2(プロフ) - ゆきなさん» 有難う御座います! (2019年7月31日 7時) (レス) id: 679c2618a4 (このIDを非表示/違反報告)
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