ポルターガイスト ページ2
「ただいま」
律儀に挨拶を済ませ、冬の外気から逃げるように急いで中に入りドアを閉めた。
「はぁ…まったく、これだから冬は嫌なんだ」
日が落ちるのは早いし、この季節はイベントが目白押しで世間が煩い。
何より寒い。とにかく寒い。
耳がジンジンと痛んだ。やはり耳あてをつけて行くべきだったか。
余裕を残す時間帯に登校し、つまらない授業を聞き流し、午後からの授業は寝て過ごし、部活には精を出す。
今日も今日とて何も変わらない日常。
少し退屈ではあったが、平和である事は有難い。
「もうずっとこのままでいいのになぁ」
鞄をベッドに放り投げ暖房のスイッチを入れ、冷蔵庫へと向かう。
中には大事に冷やしておいた限定プリンがひとつ。
昨日運良く学校帰りに手に入れた代物だ。
上機嫌に鼻歌を奏でながら、スプーンとプリンを持って席に着く。
ワクワクした心持ちで、俺はプリンの包装用フィルムを剥がす。
途端に鼻に届く甘い香り。
スプーンで慎重にプリンを掬う。
光沢のある生地がプルプルと揺れた。
そのままひと思いに口に運ぶ。
「…うっま」
砂糖が少なめなのか甘さはあまりない。その代わり、卵と牛乳のまろやかさがよく感じられた。
全体的にあっさりしていて食べやすい。
女性人気が高い理由に納得して、一人頷いた。
やはり学校終わりの疲れた身体にプリンは格別だ。
「あぁ…最高」
程よい甘さが身に染みる。
毎日諦めず部活帰りに通った甲斐があった。
至福に時間に浸っている最中、俺ははたと気付く。
「…何の音だ？」
後ろから、ガサゴソと物を漁るような音がしていた。
まさかネズミか？
ここ安いけど結構新しいアパートなんだが。
俺はプリンとスプーンをそっと置いて、恐る恐る振り返ってみた。
そこには、ひとりでにガタガタと動く俺の鞄の姿が…
「は！？」
ベッドの上には鞄以外ないし、明らかにこの動きはネズミではない。
「なんだっ？ポルターガイストとかいうやつか！？」
唖然としていると、突然何の前触れもなく動きがピタリと止まる。
「え…？止まっ…」
すると、何かが俺の鞄の中からピョコっと頭を出す。
よく見ると、それは黒猫だった。
大きな青色のツリ目は右目が閉じていた。
鞄からはプリントが飛び出しベッドの上に散乱している。
黒猫が汚れていたからか、プリントには沢山の泥がこびり付いて……
「徹夜した課題がぐしゃぐしゃに？！」
思わず絶叫した。
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ハルキ - いくら中性的で女に間違われるからって...男の娘とは言わないと思います...(男の娘地雷ッス←関係ない) (2021年10月11日 21時) (
レス) @page22 id: 8862a535cf (このIDを非表示/違反報告)
アリア - なんで儂好評価してないんだろ。バカか (2019年7月12日 17時) (レス) id: 39676cde20 (このIDを非表示/違反報告)
Ratte*らて(プロフ) - 面白いです…！！！100個目の評価は頂きました←。更新頑張って下さいね！陰ながら応援しております。 (2019年3月19日 15時) (レス) id: 9c512a775a (このIDを非表示/違反報告)
アーテル(プロフ) - らいさん» 返信遅れて申し訳ありません。コメントありがとうございます。時間を見つけて書き進めていく所存ですので、今後ともご愛読の程宜しくお願いします。 (2019年3月18日 15時) (レス) id: 5f656bed23 (このIDを非表示/違反報告)
らい - 続きが気になります。
続き楽しみにしています。 (2019年2月23日 16時) (携帯から) (レス) id: 2b97e5f6a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アーテル | 作成日時：2019年1月3日 14時
