【浦島坂田船】大好きなうらさかと大嫌いなしません

■ nineteen ページ25

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｢いって……あのおっさん思い切り殴りやがって……｣

｢ご、ごめんね志麻くん、大丈夫？｣

｢何でお前が謝るねん。謝んな気持ち悪い｣



志麻くんは玄関先でお父さんに抗議したところ、思い切り腹を殴られたらしい。
謝るなと言われても私の中にある罪悪感は完全には消えないし、お父さんに対する嫌悪もまだ私の胸の奥底で気持ち悪く這いずっている。
私が拒絶の意として首を横に振ると、お父さんはおどけたように肩をすくめた。そしてセンラくんに耳打ちをし、静かにシェアハウスを去っていったのだった。

また来るかもしれない。もし来た時は対策のしようがない。その事は誰もが肝に銘じていた。



｢ふぅ……とりあえずあの人は帰ったし夜ご飯の準備でも……｣

｢A〜〜！！も〜！すっげぇ心配したよ！これからは俺らが全力で守るからなぁ！！｣

｢寂しくなったら遠慮なく俺の胸に飛び込んでええんやで！！｣

｢うるっせ！！こっち殴られてんやで？！腹に響くわ！｣



いきなりあんなことがあったというのに相変わらずの騒がしさ。いつもは鬱陶しくも感じるのに今は何故だかこの騒がしさが幸せに感じた。
センラくんも心做しか安心している様子。

そう言えば……一つ疑問に思うことがある。絶対そんなことはないとてっきり思い込んでしまっていたのだが。


｢センラくん、ちょっといいかな｣



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