Code Blue *01 (ページ8)

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藤川とフェロー2人を現場に降ろしたヘリが湘北に戻ってきた。

「灰谷行くよ！」
「は、はい」

Aを追いかける様に灰谷は走り出すが、つまづいて転びかける。

この子は唯一やる気があるんだけど、要領が悪いというか、どんくさいと言うか...
Aが隣に座る灰谷を横目で見ると、緊張しているのか心臓を抑えてる。

「ちょっと、大丈夫？」
「は、はい！だ、大丈夫です。」

大丈夫と言う灰谷の顔ははっきり言って大丈夫そうではない。
顔面は蒼白だし、手は少し震えているようだった。

「あのね、誰もあなた達フェローに最初から難しい患者なんてお願いしないから。
　普段通り冷静にやれば出来る仕事だけなんだから、そんな緊張しないの。」
「は、はい！すみません。」

Aがフォローをしても灰谷の緊張は少しもほぐれていないようだ。
混乱している現場でフェローまでぶっ倒れたりしませんように。とAは心の中で願った。

「これはかなり混乱してるわね」

現場に到着すると、子供の泣き叫ぶ声、けが人達のうめき声、救急隊員の怒号が飛び交っていた。
すぐ近くに藤川を見つけ、Aと灰谷は駆け寄る。

「藤川！」
「あ！A先生」
「とりあえず私はどこ向かえばいい？」
「A先生は白石の方手伝って貰えますか？
　灰谷はスーパーの駐車場に行って、いま横峯が１人だから手伝ってやって」
「わかった！」
「は、はい！」

Aはすぐさま白石達のいる方へと走り出した。

走り出してすぐに横峯と白石を遠くて見つけると、
白石が民家の方へ走っていく所だった。

「白石！」
「A先生！ちょうど良かった！」
「急変患者？」
「民家と山車に子供が挟まっているらしくて。先生、小児バッグ持ってますか？」
「持ってる、急ごう！」

現場は想像以上にひどいものだった。
8歳ぐらいの少年が立った状態のまま、山車で壁に押しつぶされている。

「これはかなりまずいね。」
「対光反射弱いです！」
「救出まだ時間かかりますか？」
「まだかなりかかると思います。」
「白石、とりあえず挿管と点滴を急ごう！私が上からするからサポートして」
「はい、わかりました！」

狭い現場では治療自体を行うのが難しい。
それでも、いまは私達に出来るコトを精一杯するしかない。