15 ページ16
.
なにもかも、わからなくなった。
今、目の前にいるのは、人工呼吸器をつけて横になっているA。
あれから、僕が、思いを告げようとした瞬間、
目の前の彼女が苦しみ出した。
大事なことはいつも言えないまま。
このまま彼女を失うのが怖くて堪らなかった。
僕は病室を出て、めめに連絡した。
「 もしもし、めめ 」
「 どうした？ 」
「 Aが、倒れた 」
その次の言葉が聞こえる前に、物音が聞こえた。
めめは、今こっちに向かってるんだろう。
電話を切り、病室に戻ろうとした時、後ろから声をかけられた。
「 ラウール？ 」
「 阿部くん… 」
そこには、仕事着の阿部くん。
混乱している僕を落ち着かせるように、僕についてきて、と阿部くんは言った。
全てのパズルのピースが揃っていく。
もしかしたら、が確信に変わっていく。
.
「 俺、Aの主治医なんだ 」
納得がいった。だって、同じ大学を出てるわけでもなく、そこに実習に行ってるわけでもない。
どうして、Aと阿部くんが仲がいいのか、ずっと気になっていた。
「 治療に専念するから五年前に来て、そこから甘いものはやめたとして、運動もダメだって言ったんだけど… 」
五年前、それは、Aが黙って僕達の前から姿を消した時。
「 学校にも通ってないから、病院くらい来ると思って待ってたんだけど… 」
僕が想像していた、最悪の事態が、ホンモノになる。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 172人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：a.
| 作成日時：2020年2月15日 15時
