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隣の席の京本くん、は今目の前にいる彼らしい。
「 Aさん、一年の時から男子の間で綺麗だって言われてたから 」
「 二年の時の選択授業一緒だった気がするけど 」
「 あんまり、誰かといるイメージはなかったかな 」
さっきの短い返事は嘘のように、話す京本くん。
少し驚いたけど、どんな人か知りたかったから、少し嬉しい。
「 Aさん、あんまり人と話すの得意じゃないでしょ 」
核心をつくことを言われ、少しドキッとした。
京本くんの綺麗な瞳が私を捉えてる。
「 うん、凄く苦手。」
少しでも何か話してみようと、脳みそを回転させて言葉を絞り出そうとする。
……こういう時に限って何も出てこない。
頭の中でしている予行練習も何の役にも立たない。
「 友達が、いなくて 」
咄嗟に出た言葉がこれ。
自分から虚しいやつアピールをしてるみたいで少し悲しくなった。
「 話しかけられても、慌てて何も言えなくなって、」
初めて、こんな話を人にした。
「 結局誰とも、仲良くなれないっていうか 」
ここまで話せて、やっと。
人と話すことがこんなにも大変だなんて、久しぶりに感じた。
「 別にいいんじゃね 」
京本くんは、目の前の紙に何か書きながらそう言った。
「 本当に仲良くしたかったら、そんなんで終わらないでしょ 」
それは少し、私の心を抉ってくる。
人にこんなことを言われたのは初めてだった。
話しかけてもらうのを待って、ひとりで勝手に落ち込んでたのはどこの誰。
いつだって私は、自分から話しかけようとしなかった。
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「 京本くん 」
「 なに？ 」
「 友達になりませんか 」
この日、私は初めて友達ができた。
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作者名：a.
| 作成日時：2020年10月17日 22時
