【雨音】 (ページ4)

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宮近 side

新しく始まる高校生活に胸を踊らせていた俺。
教室に入った瞬間もう少し勉強してもっと賢い高校にいきゃ良かったかななんて思ったけど、今更後悔しても無駄。

俺は人を笑わせるのが得意だしなんとか馴染んでやってける。なにより中村海人という心から信頼できる親友がいるから。

海人を待ちながら自分の席で人間観察をしていた。

周りを見渡せば傍から見れば「ヤンキー」「ギャル」といった言葉が似合うような同級生ばかりだ。

俺は右耳にピアスを2箇所あけている。でも黒髪だし、制服もきちんと着こなしている。だからだろうか、なんだか浮いてる気もしたが海人も俺みたいな感じだろうと謎に確信していたから、あまり気にしなかった。

ふと教室のドアに目線をやると明らかに周りとは違った落ち着いた雰囲気の女の子が入ってきた。

不確かだけど、「私に近寄るな」と感じさせるオーラが出ていて気付けば俺は彼女に釘付けになっていたんだ。

彼女は黒板で席を確認すると俺がいる方に歩み寄ってきた。まさか、そうまさか。

彼女は俺の隣の席だったんだ。

今思えば、俺はこの時すでに

まだ名前も知らぬ彼女に、
恋心を抱いていたのかもしれない……