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「Aちゃん男とおったっす」
「まあそうやろな、」
「え、知ってたんすか?」



会って早々報告すれば「知ってるも何も状況的にそうでしかないやろ」なんて淡々としたトーンで返してくる拓実くんは昨日俺のことを心配してくれていた人と同一人物とは思えないけど、珍しくため息をついているから俺が何か間違ってるんだと思う。



「りょうくんは祥生に託したんやで」
「何を…?」
「…まじかぁ」
「急に何の話っすか、」



祥生ってそういうとこ鈍いタイプやったんかぁなんて呆れた顔してぶつぶつ言ってる拓実くんは慰める気なんかさらさらなさそうで、結構傷心中なのに何でこんな対応されてんのやろ…?とぼーっとしてしまう。



Aちゃんと出会った日から昨日までのことを一晩中繰り返すように思い出していたけど、落胆して、でもやっぱり好きやな、の感情が交互にきてしまうから終わりがなくて。

一目惚れの魔法ってすごいんやなあなんて呑気に考えもしたけど、一目惚れで終わらせてくれなかったのはAちゃんにそれ以上の魅力がたくさんあったからで。改めてそれに気付いてしまえば好きを終わらせるどころか一時的に止めることすらもできないのに。





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作者名:bell | 作成日時:2025年8月19日 18時

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