尖る瞳眠る声 (ページ42)

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何かを考え込んでいるようなAちゃんだったけど、少し経てばいつものAちゃんに戻っていた。Aちゃんの曲と俺たちの曲を交互に流してみたり、他愛もない話で盛り上がったり、二人きりの車内は普段の俺たちと変わらないすごく穏やかな空間だった。

「寒くない？」
「うん、大丈夫」
「綺麗やな」
「そうだね、」

だいぶ車を走らせて到着したのは星がよく見える場所。デートスポットらしいから周りにちらほらカップルっぽい人たちがいるけど、自分たちの世界に入り込んでいるのか誰も俺たちを気にする素振りもなく。隣のAちゃんは既に自分だけの世界に入り込んでしまったのか、空をじっと見上げていてぴくりとも動かない。

座らせてあげようとベンチを触ってみれば少しだけ湿っていて、白い服を着ているAちゃんをここに座らせるのは気が引けてしまう。

「おいで、ここ」
「なんで」
「汚れるやん」

手を広げて膝を叩けば一瞬怪訝な表情を浮かべたものの、そのままおとなしく俺の上に収まってくれるAちゃんは出会った頃よりもずっと分かりやすくなったような気がして勝手に嬉しくなってしまう。

きっとAちゃんは俺の気持ちに気付いてるやろうけど、俺もAちゃんの気持ちに気付いてるってことにしてもええかな。Aちゃんがそれを認めてくれるかは分からんけど。

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