尖る瞳眠る声 (ページ16)

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「っ、いった、」

かけた覚えのないアラーム音が鳴っていると思えばマネージャーさんからの電話で。……やべ。時計を見ればもう迎えの時間で全力で謝って次の便に変更してもらう。どうやって帰ってきたのか記憶がなくて変な汗が背中を伝う。

お酒は強くない自覚があるから程々にしとったはず…それなのにいくら昨夜の記憶を探って、Aちゃんと話した時間が最後の記憶で。あの後どうしたんやっけ…Aちゃんが誰かに呼ばれておらんくなって…、二日酔いなのか頭痛がひどくて思い出すにも思い出せない。

「昨日どうやった？」
「拓実くん…最後の方覚えてないんすよ、」
「マジ？」
「マジっす、最悪やほんま」

拓実くんは俺より先に帰ったらしく、帰る前に俺に声をかけてくれたみたいだけどその時はAちゃんじゃない女の子と一緒におったっぽい。マジでその辺の記憶がぶっ飛んでてまずい。Aちゃんと話す前はどの女の子とも話してないから確実にAちゃんがいなくなった後の話で。

「やってしまったかもしれん…」
「アホやな」
「助けてくれてもよかったやないすか、」
「楽しそうにしとったからAちゃんは諦めたんかと思て」
「そんなわけないやん…」

記憶がないだけならまだしも、俺をこんなにも悩ませるのはコレ。スマホに残る知らない女の子の連絡先。Aちゃんじゃない連絡先。これ何、ほんま。

"楽しかった、また遊んでね"
"鍵はポストに入れておいたよ〜"

「拓実くん、嘘やと言って」
「どんまいやな」

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